ふわふわな軽い惑星
系外惑星「WASP-107b」は、乙女座の方角へ地球から212光年離れた星系「WASP-107」で2017年に発見されました。
非常に主星に近い場所にあり、その距離は地球-太陽間のおよそ16分の1です。
大きさは木星とほぼ同じくらいだとわかっていますが、その質量は非常に軽く、密度は土星の5分の1程度しかないと言われています。
こうした非常に低密度で、大きさの割に軽い惑星は、「スーパーパフ(super-puff)」あるいは「綿菓子惑星(”cotton-candy” planets)」なんて呼ばれ方をしています。
今回の研究チームは、この系外惑星「WASP-107b」の質量を、視線速度法を使って正確に測定しようと試みました。
視線速度法とは、惑星の重力が主星を引っ張ってぐらつかせる度合いを調べることで、惑星の質量を測定する方法のことです。
この観測によって測定された「WASP-107b」の正確な質量は、木星質量の約10分の1、地球質量に置き換えると約30倍ということがわかりました。
次にチームは、惑星のもっとも可能性の高い内部構造を明らかにしようと研究を進めました。
それが、今回の研究のもっとも驚くべき報告となりました。
分析の結果「WASP-107b」のコアは、驚くほど低密度で、地球質量の4分の1以下だという結論になったのです。
これは惑星質量の85%以上が、このコアを取り巻くガスの層(ガスエンベロープ)だったことを意味しています。
「WASP-107b」の質量は、海王星の質量とほぼ同じですが、海王星が持つガス層は惑星総質量の5~15%程度です。
この発見は、さまざまな疑問を生みました。
一体、このような低密度の惑星はどうやって形成されているのでしょう?
またこの惑星が主星に非常に近いことを考えると、一体ガス層をどうやって奪われずに維持しているのでしょう?