NaCl結晶核が形成される様子を捉えた原子分解能電子顕微鏡動画(40ミリ秒/フレーム)。
NaCl結晶核が形成される様子を捉えた原子分解能電子顕微鏡動画(40ミリ秒/フレーム)。 / Credit:東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室,中村 栄一 et al.,American Chemical Society(2020)
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液体から「食塩の結晶ができる瞬間」を撮影成功!ミクロな視点から結晶化の過程を観察できるようになった (2/2)

2021.01.26 Tuesday

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塩が結晶化していく驚異の動画

NaClの結晶化スローモーション映像。
NaClの結晶化スローモーション映像。 / Credit:東京大学大学院理学系研究科・理学部 School of Science, The University of Tokyo/YouTube

これが40ミリ秒/フレームで連続高速撮像された映像です。

確かに円錐の先端部分で規則正しく並んだ結晶が生成されているのがわかります。

動画ではこれが再現性良く、9回繰り返される様子が映されています。

この映像は適切な空間設計により、動き回る核形成過程を精密に制御できた証でもあります。

この事実は結晶サイズを制御したり、同じ化学組成の物質が作る複数の結晶構造(結晶多形)を制御する手法としても展開が期待されます。

また、これまでは結晶化前の分子集合体の性質や構造は明らかになっておらず、そもそも研究対象にすることさえままならないものでしたが、今回の撮影により、この集合体が結晶とは異なる極めて流動的な構造を持つことも実証されました。

結晶核を形成する以前の分子集合体は、流動的に構造を変化させながら、結晶に類似した秩序だった構造を過渡的にとることが示された。
結晶核を形成する以前の分子集合体は、流動的に構造を変化させながら、結晶に類似した秩序だった構造を過渡的にとることが示された。 / Credit:東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室,中村 栄一 et al.,American Chemical Society(2020)

結晶核を形成する前の分子の集合体は、単純に無秩序な構造なわけではなく、流動的に構造を変化させながら、ときおり結晶に類似した秩序だった構造をとることがわかったのです。

とうとう人類は、結晶化の自己集合過程や相転移現象(液体から固体へ移行する現象)を、実際ミクロな視点から観察できるようになりました。

これは新しい材料が分子レベルの観察に基づいて設計・開発できる、革新的な分子技術のはじまりとなるかもしれません。

また、天然の鉱物や歯・骨などの生体鉱物の生成機構解明にもつながる研究の発展も期待されています。

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