なぜ男子と女子で、ゲーム利用時のメンタルヘルスに違いが出るのか?
ただ、男子の場合、ゲームの利用頻度が高く、そのためにソーシャルメディアの利用頻度が低くなっていました。女子の場合はこの逆です。
こうした男女のメディアの利用頻度の違いが結果に影響を与えていた可能性があります。
ソーシャルメディアの頻繁な利用は、他の研究からも社会的な孤立感を高めうつ症状と関連する可能性が示唆されています。
また、女子は男子より社会的な傾向が強く、メンタルヘルスを維持するために、物理的な接触を伴って他の人と一緒に活動する必要があるのかもしれないと推測されています。
ビデオゲームは、物理的な接触が制限されていて、ほとんどの場合はソロプレイの遊びです。
こうした要因が結果の違いに影響した可能性もあります。
いずれにしても、これらはまだ明確に証拠が示されたものではなく、男子と女子で結果に大きな違いが出た理由は不明です。
また、今回の研究はメディアの利用頻度を調べていますが、1日の利用時間などの詳細なデータがあるわけではありません。
1日の詳細なメディアの利用時間などから、もっと違った結果が導かれる可能性もあります。
また、親の育児方法や、関わっているグループなど、研究者がデータとして持っていなかった子どもの周辺状況に理由が存在する可能性もあります。
なんにせよ、今回の研究は座りがちな生活をする、あまり活動的ではない子どものメンタルヘルスについて調査したもので、メディア利用の危険性を明らかにしようとしているわけではありません。
研究者たちは、インターネットの利用やソーシャルメディアの利用頻度よりも、普段座りがちな生活を送ることのリスクの方が問題だと指摘しています。
ある程度活動的に生活することが、精神の健康のためには必要なようです。
また、今回の研究からビデオゲームでメンタルヘルスが改善されると明言はできませんが、少なくとも調査の内容からはテレビゲームが有害なものとは思われず、むしろ利点が多いように感じられる、と研究者は述べています。
「特にパンデミックの間、テレビゲームは若者にとって重要な社会的プラットフォームとなっています」とカンドラ氏は付け加えています。
テレビゲームのようなアクティブな画面を見ているときと、ソーシャルメディアのようなパッシブな画面を見ているときでは、異なる効果がある可能性が今回の研究では示されています。