大発見のコツは簡単に納得しないこと
他の歴史上の大発見と同じく、今回の研究も何気ない疑問がスタートになりました。
線虫は土の中にいる雑多な細菌を主食としていますが、毒であり青色色素でもある「ピオシアニン」を含む緑膿菌を避ける性質が知られていました。
そこでイェール大学のゴーシュ氏は、
「線虫たちは、いったい何を判断基準に緑膿菌を避けているのだろうか?」
と、疑問を持ちました。
「毒素としてのピオシアニン」を避けているのか、それとも「青色色素としてのピオシアニン」なのか?
線虫には鋭い嗅覚が存在するため、常識的には「毒素としてのピオシアニン」を避けているはずです。
近年の研究では、この線虫の鋭い嗅覚を、がん検診に利用する技術も開発されているほどです。
さらに、線虫には目も光を感知するためのオプシンもありません。
しかしゴーシュ氏は、線虫が青色を認識できる可能性を捨てませんでした。
現代科学で証明されているのは、あくまで線虫に目とオプシンがないことだけであり、色が判断できないとは誰も言っていなかったからです。