新タービンは風の渦による振動を増幅させている
ハネなしの新タービンは振動で発電します。
断面図から分かるように、新タービンは外筒と内部の弾性ロッドで成り立っています。
まず外筒が風の力を受けて、弾性ロッドと共に左右に振動します。
そしてこのとき、固定されたコアとの間で反復運動が発生。ここにコイルと磁石を組み込むことで発電が可能になるのです。
しかし、柱のように真っすぐな外筒では、風の力で振動するのは難しいように思えます。
ここにはどのような原理が働いているのでしょうか?
Vortex Bladeless社によると、新タービンは「渦励振(うずれいしん)」という現象を利用しているとのこと。
風などの流れのなかに物体を置くと、その後方には渦が周期的に発生します。そして渦の力によって物体が振動するのです。
もちろん、これだけでは物体が少し振動するだけです。
ところが新タービンは渦の周波数と物体の振動周波数をあえて近づけることで、その力を増幅させています。
もともとこの共振現象は設計の際に「避けるべき要素」として考慮されます。
なぜならこれによって風の抵抗を受けにくい構造物でも大きく振動し、損壊してしまうおそれがあるからです。
ところが風力発電においては、逆にメリットとなります。省スペースでコンパクトな装置でも大きく振動させて発電できるのです。
現在、Vortex Bladeless社はより大きなタービンを作るために産業パートナーを探しています。
今後の進展によっては、ブレードのないタービンが普及する可能性もあります。「近くの公園で新タービンが振動している」なんてこともあるかもしれませんね。