↓↓動画でも解説しています。
月の母の名を持つ原始惑星
初期の太陽系は混沌とした場所で、約46億年前に、生まれて間もない原始地球に、火星サイズの原始惑星が衝突しました。
このとき、原始惑星は斜めに地球にぶつかったため、大量の残骸が地球の軌道上まで巻き上げられました。
この残骸はやがて集まって、それが月になりました。
そのためこの原始惑星を、ギリシャ神話に登場する月の女神セレナの母親の名前にちなんで、「テイア」と呼ばれています。
これは月形成に関する主要な3つの理論のうちの1つで「ジャイアントインパクト説」と呼ばれるものです。
他にも月の形成に関しては2つの有名な仮説があり、1つはもともと地球と同時に、月が最初から形成されていたというもの。
もう1つは宇宙をさまよっていた天体が、地球の重力場に捕獲されて衛星になったというものです。
(現在のところ、この3つの仮説のうち、いずれが真実なのかを決定づける証拠は見つかっていません。)
ジャイアントインパクト説は人気のある仮説ですが、はるか古代に地球に衝突したテイアの存在を直接示すことはかなり困難だと考えられます。
しかし、もしそんなダイナミックな出来事が過去の地球で起きていたとしたら、地球とは組成の異なるテイアの残骸は、まだどこかに残っているかもしれません。
実はこの証拠となりそうなものを、地震学者たちは発見していました。
それは地球の地下深く、コアとマントルの境界にありました。