衣服やカーテン、車カバーにも応用できる!
今回開発されたメタファブリックは、「酸化チタン」と「ポリ乳酸」の複合ナノ粒子を、フッ素樹脂の「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」の層と薄く重ね合わせたものです。
中赤外線(MIR)から可視光(VIS)、そして紫外線(UV)までの波長域の光を強く反射するように設計されています。
研究主任のShaoning Zeng氏によると「これらの波長の光を反射することで、理論的には、熱の吸収を多分に防ぐことができる」とのことです。
そこでチームは、太陽光に対する冷却能力を検証するため、メタファブリックと他の一般的な素材を晴天下のパネル上に設置し、温度測定を行いました。
日射量がピークに達する11時〜15時で測定した結果、メタファブリックの温度は、コットン(綿)、スパンデックス、シフォン、リネン、衣服なしと比較して、それぞれ5.0℃、6.8℃、7.0℃、5.8℃、10.2°Cも低かったのです。
また、実際の条件に近づけるため、ボランティアが直射日光の下で1時間リクライニングした状態で、衣服の半分にメタファブリック、もう半分に市販の綿生地を使用したベストを着用しました。
すると、外付けのサーモグラフィでの温度差は3.4℃でしたが、生地の下に設置した熱センサーでは、メタファブリックの方が4.8℃も低くなっていました。
さらに、メタファブリックを車にかけた別の実験では、車内温度はカバーをかけていない車より約30℃低く、市販の車カバーをかけた車より約27℃低くなっています。
これを受け、メタファブリックは人と物の両方の冷却に利用可能と期待されますが、今回の実験は、静止している被験者と物のみを対象としているため、メタファブリックを着用して動く人に、どのような反射効果があるかは分かりません。
それから、衣服に着色するための染料で、メタファブリックの光反射能が落ちないかもテストする必要があります。
その一方で、メタファブリックはコストがかからないため、安価な大量生産が可能です。
Zeng氏は「メタファブリックは、衣類、テント、車のカバー、カーテン、日よけなど、さまざまなシーンに対応できます。製造パートナーの協力が得られれば、来年にはメタファブリックを使った商品が販売できるでしょう」と述べています。
夏場をしのぐヒット商品となるでしょうか。