新素材「ナタピューレ」を開発
新素材「ナタピューレ」を開発 / Credit: 農研機構 / ナタデココとβ-グルカンを混合した新食品素材 – 食品粉末に新たな特性を与えて適用範囲を拡大 -(2021)
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ナタデココをペースト化した新食品「ナタピューレ」を開発 (2/2)

2021.10.06 Wednesday

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ナタピューレの2種類のメリットとは?

ナタピューレは、食品粉末の加工において、主に2種類のメリットがあります。

1つ目は、粉末をペースト化する際の結着性を高める作用です。

これは粉末を硬くまとめやすくする作用で、お皿への付着を防いだり、形が整えやすいことで3Dフードプリンタの素材としても有用です。

下図のように、大豆粉を水だけでペースト化すると上手くまとまりませんが、ナタピューレを使うとパン生地のように綺麗にまとまります。

大豆粉のペースト化の違い
大豆粉のペースト化の違い / Credit: 農研機構 / ナタデココとβ-グルカンを混合した新食品素材 – 食品粉末に新たな特性を与えて適用範囲を拡大 -(2021)
ジャガイモ粉末のペーストを3Dプリントした結果、水のみ(A)とナタピューレ(B)
ジャガイモ粉末のペーストを3Dプリントした結果、水のみ(A)とナタピューレ(B) / Credit: 農研機構 / ナタデココとβ-グルカンを混合した新食品素材 – 食品粉末に新たな特性を与えて適用範囲を拡大 -(2021)

2つ目は、粉末を溶いた懸濁液において、デンプンのように水中で沈む粉末を均質かつ安定して分散できる作用です。

実験では、ジャガイモ粉末とデンプンを、水かナタピューレ中で混ぜて1時間放置し、どれだけ均質に分散しているかを調べました。

その結果、水のみでの攪拌(かくはん)では、粉体が底に沈殿してしまうのに対し、ナタピューレ中では、全体にまんべんなく溶けています。

こちらがその結果。

ナタピューレ中での分散性を確かめる実験
ナタピューレ中での分散性を確かめる実験 / Credit: 農研機構 / ナタデココとβ-グルカンを混合した新食品素材 – 食品粉末に新たな特性を与えて適用範囲を拡大 -(2021)

これが何に使えるかというと、たとえば、高い分散性を持った懸濁液をつくり、それをシート状に好きな形で配置してレーザー加熱することで、高度な食品デザインが可能となります。

実験では、ゲル化剤のカードラン粉末と、ターメリック粉末を含む懸濁液にナタピューレを加えて、分散性の高い懸濁液を調製。

それをグラス状で「NARO」という文字型に成形して加熱し、見事にゲル化した食品文字を作ることに成功しています。

(NAROとは、農研機構を英語表記した際の頭文字をとったものです)

ナタピューレを含む層の加熱実験
ナタピューレを含む層の加熱実験 / Credit: 農研機構 / ナタデココとβ-グルカンを混合した新食品素材 – 食品粉末に新たな特性を与えて適用範囲を拡大 -(2021)

研究チームは今後、さまざまな種類の農産物粉末に対するナタピューレの添加効果を調べ、調理・加工現場での実用化に向けて取り組んでいく予定です。

それ次第では、余剰・規格外農産物のフードロスの大幅な削減も期待できます。

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