ひとりぼっちなのに喋りまくるイルカを発見
ハンドウイルカ(学名:Tursiops truncatus)は世界中の海に分布する最もよく知られたイルカの一種で、通常は小さな群れで生活する社会的動物です。
ハンドウイルカは鳴き声も多種多様に発達しており、それらを巧みに使って、仲間とコミュニケーションを取っています。
ところが2019年9月、バルト海に浮かぶデンマーク中央部「フュン島」の南側の海域に、一風変わったハンドウイルカが見つかりました。
このハンドウイルカはオスの個体で、地元民からは「デル(Delle)」の愛称で呼ばれています。
ところが研究者がその外見をよくよく調べてみると、個体番号1022としてイルカ生態研究のカタログ・データに記録されている「ヨーダ(Yoda)」という個体であることが判明したのです。
ヨーダは2007年の生まれであり、今年で17歳になります。
背びれに特徴的な切れ込みがあるため、他の個体と識別しやすかったのでした。
ヨーダは元々、スコットランドの海域で暮らす「モーレイ・ファース(Moray Firth)」と呼ばれるハンドウイルカの群れで生まれています。
ところが2017年9月、ヨーダは故郷を離れて行方知らずとなり、2019年に突如としてフュン島の南海域で発見されたのです。
このフュン島の南海域には小型のネズミイルカが住んでいるものの、ヨーダと同じハンドウイルカは生息していません。
それゆえ、ヨーダは少なくとも2019年以来、ひとりぼっちで暮らしていると見られるのです。
さらに南デンマーク大の研究チームが水中に録音装置を設置したところ、驚きの結果が得られました。
なんとヨーダは他に誰も仲間がいないにも関わらず、多種多様な鳴き声を発して喋り倒していたのです。