パワーポーズで自信や行動力にポジティブな変化が
心理学者は以前から、内面的な気持ちが、表情や姿勢に反映されると指摘していました。
たとえば、悲しいときはうつむきがちになり、怖いときは首をすくめて背中を丸めるでしょう。
逆に、幸せだったり自信に満ちているときは、胸を張り背筋が伸びています。
ある研究によると、この効果は逆方向にも働き、姿勢が気持ちに影響を与えることもあるそうです。
その中で「パワーポーズ(power pose)」が注目され始めたのは、2012年のこと。
社会心理学者のエイミー・カディ(Amy Cuddy)氏が、TED Talksにて、「パワーポーズは、血中のコルチゾール(ストレスホルモン)の低下とテストステロン(男性ホルモン)の上昇を促し、それによって自尊心や自信を高める」と発表しました。
かなり大胆な主張ですが、本当にそのような効果があるのでしょうか?

そこで本研究チームは、「パワーポーズ」に関する約130の先行研究を対象に、そこに含まれる合計9779人の参加者の実験データを分析しました。
主な目的は、意識的にある姿勢を取ることが、その人の自信・行動・ホルモンレベルに影響を与えるかどうか調べることです。
そして分析の結果、パワーポーズを取った人は、自分に自信を感じるようになり、より肯定的な自己認識にいたることが示されました。
行動面でのポジティブな変化も促しており、参加者はパワーポーズをとっているとき、より粘り強くタスクに取り組むことがわかっています。
また、これらの効果には、男女差や年齢差がなく、大部分の参加者に等しく観察されました。
ホルモンレベルには変化なし
一方で、カディ氏が主張した、パワーポーズがストレスホルモン(コルチゾール)のレベルを低下させ、テストステロン(男性ホルモン)値を上昇させるという証拠は見つかりませんでした。
このことから研究チームは「パワーポーズによる自信の高まりは、生化学的なメカニズムが原因ではなく、純粋に心理学的な作用によるものではないか」と考えています。
それからチームは、先行研究の限界についても強調しました。
特に注意すべき点は、先行研究のほとんどが、西洋の先進国社会に住む中流家庭以上を対象にしていることです。
アフリカやアジアなどの文化圏は対象としていないため、パワーポーズがすべての人に等しく効果的であるとは断言できません。
それでも研究チームは、パワーポーズに多くの人の自信を高める効果があることを主張します。

実際、背中を丸めてうなだれるよりも、大股で胸を張ると、少し気分が高揚するのを感じないでしょうか。
そのため、大事なプレゼン前や緊張しているときにパワーポーズを取ると、気を強く保てるかもしれません。
ただしパワーポーズは、自分の自信を高めるのとは別に、相手に対して支配的で、威圧感を与える効果もあります。
なので、人前でパワーポーズを取りすぎるのは控えたほうがいいでしょう。