1つのVRアバターを2人で分担して操作すると「自分の体」だと思える?
研究チームは、1つのVRアバターを2人で分担して操作したときの自己身体感を調査しました。
「バーチャル二人羽織」とも言える状態で、協力してタスクをこなしてもらったのです。
ただこの記事では二人羽織と表現しましたが、実際実験で行われているのは、左右の半身をそれぞれ別の人が操作するというものです。
つまり、右手を含む右半身をある人が操作し、左手を含む左半身を別の人が操作したのです。
1つ目の実験では、アバターの腕にナイフが刺さるときの「皮膚コンダクタンス反応」が測定されました。
皮膚コンダクタンス反応とは、ストレスで生じた発汗に伴う電気的変化を評価したものです。
よく緊張する場面のことを「手に汗握る」と表現するように、私たちがストレスを感じるときには、発汗が促されるものです。
皮膚コンダクタンス反応は、この発汗によって対象者がどれほどストレスを感じているか調べる手法なのです。
ちなみに皮膚コンダクタンス反応は、うそ発見器などにも利用されているようです。
VRアバターにナイフを刺す場面で皮膚コンダクタンス反応を調べるなら、本人がアバターの体をどれほど自分の体のように感じているか知ることができるでしょう。
また同様の観点で、自分が操作している腕と他者が操作している腕に対する感じ方の違いも知ることができます。
実験の結果、皮膚コンダクタンス反応は、他者が操作する腕と比較して、自分で操作する腕の方が有意に高くなりました。
つまり、この実験で分かるのは、自分で操作する腕の方が危機感を覚えやすく、自分の体として認識しやすい、ということです。
では、他者が操作する腕に対して、自己身体感を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
その秘訣は、もう1つの実験で明らかになりました。