薬を飲む姿勢が悪いと「胃の機能不全」と同レベルの悪影響がある
さらに研究チームは、胃不全麻痺(胃が麻痺して動きが悪くなる病気)の場合に、薬の吸収がどのように変化するかもシミュレーションしました。
その結果、胃の消化力が少し低下するだけで、錠剤を消化して十二指腸に排出する速度が大きく落ちました。
しかもその変化量は、間違った姿勢がもたらす消化吸収の遅延と同レベルだったのです。
ミタル氏は「錠剤の溶解に限ったことですが、姿勢の変化がもたらす悪影響の程度は、胃が大きな機能不全に陥っているケースと同じです」と述べました。
ここからは、薬を飲むときの姿勢が、素早く効果を得るための非常に重要な要素だと分かります。
とはいえ研究チームは、今回のシミュレーションにはいくつかの制限があることも認めています。
錠剤の消化吸収には、胃の中の液体・ガス・食物の量も影響を与えますが、今回はそれらの要素がモデル化されていません。
また遺伝の影響により、同じ薬を飲んだとしても得られる効果には人によって大きな差があります。
姿勢が経口薬の吸収速度に大きな影響を与えるのは事実ですが、関係する要素はそれだけではないのです。
そして研究チームは最後に、「薬の効果を確実にするための最善の方法は、処方されたとおりに薬を飲むこと、服用を忘れないこと」だと付け加えています。
結局、経口薬の正しい飲み方とは、いつも「用法用量を守る」ことなのです。
その点を守れている人は、次に「右に傾くこと」も意識してみましょう。