大人にも「遊び」が必要な理由とは?

思い返してみてください。子どものころ、あなたはどんな遊びに夢中でしたか?
鬼ごっこ、秘密基地、友達とのサッカー。
そこには「何のためにやっているか」という目的意識はなく、ただ楽しいという感覚だけが存在していました。
ところが、大人になるとその感覚は次第に失われていきます。
これは、単なる「忙しさ」の問題ではありません。
社会は私たちに、「生産性」や「効率性」を強要し、自由で創造的な時間を「無駄」と感じさせる仕組みを作ってきたからです。
そんな社会で生活している私たちは、「趣味よりも副業」「息抜きよりも自己研鑽」「遊びよりも育児や介護」を重視するかもしれません。
このような価値観の中で、「遊ぶこと」は後回しにされ、ついには忘れ去られるのです。
しかし、これは人間本来の姿とは言えません。

Guitardらの研究(2005年)でも、成人における遊びはストレスを軽減し、創造性、想像力、問題解決能力を高め、幸福感と健康を促進することが示唆されています。
さらに、Magnuson & Barnettの研究(2013年)は、遊びがストレス対処能力を高めることを実験的に裏付けています。
実際、遊びは「役に立たないこと」ではなく、人生を豊かにする根幹的な行動なのです。
ロビン・ハンリー・ダフォー氏も次のように語っています。
「遊びは、毎日の真面目な仕事や責任から私たちを解放してくれます。
頭で考えすぎることから離れて、体を動かしながら“今この瞬間”を感じさせてくれるのです」
つまり、遊びとは思考を止めて、今この瞬間を感じる行為であり、ストレス社会において失われがちな「生きている実感」を取り戻すカギだというのです。
では、大人になってから「遊び」を取り入れるにはどうすれば良いでしょうか。