隕石衝突による津波シミュレーション(津波伝播モデル「MOM6」)
隕石衝突による津波シミュレーション(津波伝播モデル「MOM6」) / Credit:Molly Range(University of Michigan)et al., AGU Advances(2022)
geoscience

恐竜を滅ぼした隕石は”富士山を超える4.5kmの津波”を引き起こしていた!

2022.10.07 Friday

恐竜たちを滅ぼしたのは1つの巨大隕石だと考えられており、当時の状況を理解するため多くの調査や研究が行われてきました。

そして最近、アメリカ・ミシガン大学(University of Michigan)地球環境科学科に所属するモリー・レンジ氏ら研究チームが、地球規模のシミュレーションにより、隕石突後10分間の津波の高さや広がり方を表現しました。

シミュレーションによると高さ4.5kmもの波がつくられた可能性もあるというのです。

そしてこの結果は、集められた世界中の100以上の地質データとも合致しています。

研究の詳細は、2022年10月4日付の科学誌『AGU Advances』に掲載されました。

Dinosaur-killing asteroid triggered global tsunami that scoured seafloor thousands of miles from impact site(eurekalert) https://www.eurekalert.org/news-releases/966255 Dinosaur-killing asteroid triggered global tsunami that scoured seafloor thousands of miles from impact site(phys) https://phys.org/news/2022-10-dinosaur-killing-asteroid-triggered-global-tsunami.html
The Chicxulub Impact Produced a Powerful Global Tsunami https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2021AV000627#

「隕石衝突」の分析が進められる

恐竜の時代「中生代」を終わらせたのは、「チクシュルーブ衝突体」と呼ばれる巨大隕石だったと考えられています。

1990年代初頭には、メキシコ・ユカタン半島のチクシュルーブ村付近で直径177kmものクレーターが発見されており、ここに巨大隕石が落ちたと推定されました。

この衝突によって大規模な山火事や津波が発生し、地球上の動植物の4分の3が絶滅したのです。

恐竜を絶滅させるほどの隕石の影響とは?
恐竜を絶滅させるほどの隕石の影響とは? / Credit:Canva

衝突直後の様子についてはあまり知られていませんでしたが、現代の技術を用いて徐々に解明されています。

例えば、2021年のアメリカ・ルイジアナ大学ラファイエット校(ULL)の研究では、2019年にルイジアナ州中央部の地下1500mで発見された「津波の痕跡」が調査されました。

地下の堆積層には隕石衝突時の津波によって波紋が刻まれており、これを分析したのです。

その結果、隕石落下が起こした衝撃はマグニチュード11を超え、発生した津波の高さが1500mを超えていたと判明しました。

恐竜を滅ぼした小惑星は「高さ1500メートルの津波」を引き起こしていたと明らかに

そして今回、隕石衝突時の様子がさらに詳しく解明されました。

2022年10月、ミシガン大学のモリー・レンジ氏ら研究チームが、隕石によって発生した津波をコンピュータモデルで再現し、世界中の地質データで裏付けを取ったのです。

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