他者の精神状態を認識できる「心の理論」
先ほどの実験では、イヌが「わざといじわるをしているのかな?それとも偶然?」と相手の気持ちを想像していました。
このような相手の気持ちを推し量る能力は「心の理論」と言われるもので、人間でも身に着けることができるのは幼児期以降と言われています。
しかし実は人間やイヌ以外にも「心の理論」を身に着けている動物がいます。
「心の理論」を持つ動物
「心の理論」を持つ動物としてまず挙げられるのは人間と近い類人猿です。
チンパンジーは困っている人間の写真に対し、正しい解決法の写真を選ぶことができると言います。
これは、チンパンジーが写真に写っている人間の気持ちを正しく理解できている可能性を示しています。
また、オウムの仲間であるヨウムにも「心の理論」を持つことが示唆される逸話があります。
有名な天才ヨウムであるアレックスは、数を答える問題を得意としていましたが、飽きてくるとわざと間違えることがありました。
これはアレックスが人間の内面にある「正解を答えてほしい」という思いを汲み取っていないとできない行動です。
このように、一般的に頭が良いと言われる様々な動物が相手の内面を推し量る「心の理論」を持っています。
イヌも高度な頭脳を持つことで知られる動物ですので「心の理論」を持ち合わせているのは不思議なことではありません。
イヌは人間の内面も見ている
イヌは頭がいいだけではなく、人間の内面を推し量る力もあります。
動物だから伝わらないだろうという気持ちで、いい加減な接し方をしていたら、イヌにも伝わる可能性が十分にあるのです。
しかしそれは逆に言えば「人間がイヌを喜ばせたいという気持ちを持ちながら接しているなら不器用でもちゃんと伝わる」という喜ばしいことでもあります。
人間同士のように言葉での弁解はできないだけに、常に誠実な姿勢でイヌと向き合っていきたいものですね。