「本物の列車の写真」と「鉄道模型の写真」を見分ける実験
研究チームは、チルトシフト写真の効果を詳しく調査するために、1つの実験を行いました。
この実験にはアストン大学の学生108人(男性41人、女性67人)が参加。
彼らに、1度に2つの画像(「鉄道模型の写真」と「本物の列車の写真」)を5秒間見せ、どちらが本物の列車か答えてもらいました。
ちなみに、色の鮮やかさで判断するのを防ぐため、すべての画像はグレースケール化されました。
そして本物の列車の写真は、「加工無し」に加え、背景に5種類のぼかし加工が入ったものが用意されました。
実験の結果、ぼかし加工が無い場合、参加者の正解率は67%でした。
正解率が100%でないのは、鉄道模型が精巧に作られたものであることを示しています。
そしてぼかし加工を施した5種類の画像パターンの正解率は50%付近かそれ以下になりました。
特にチルトシフト写真に該当する「列車から画像の端に向かってピントがぼやける加工」では、正解率が最も低く、わずか24%でした。
さらに「写真の上部と下部に単調なぼかしを入れただけの加工」でも、33%の正解率となりました。
この結果から、チルトシフト写真として知られるぼかし加工を入れると、人々は本物の鉄道とミニチュア模型が本当に見分けられなくなることが証明されました。
しかも大雑把にぼかし加工を入れるだけでも、私たちの脳は簡単に騙されてしまうようです。
では、どうしてぼかし加工だけで写真内の被写体がミニチュア模型のように見えてしまうのでしょうか?