どのような経緯で感染するの?
なぜイリドウイスルは、ダンゴムシを青く染めるのでしょうか?
これについて今回の研究を報告している野川氏は、これがウイルスの感染戦略に関係していると説明しています。
イリドウイルスに感染した個体は地表の見つけやすい所に出現し、かつ色で目立たせることで鳥などの捕食者に食べられやすくしていると考えられるのです。
鳥などに捕食されると、その鳥がした糞をまたダンゴムシが食べることで、イリドウイルスの感染が広がっていきます。
自然界では、このように他の生き物を仲介して、自分の子孫を広げる性質を持った生き物は珍しくありません。
たとえば、ロイコクロリディウムという寄生虫の一種は、幼虫の時はカタツムリに、成虫では鳥に寄生します。
そして、鳥の体内で産みつけられた卵は、まず鳥の糞とともに排出され、カタツムリがそれを食べます。そしてカタツムリの体内で幼虫が孵化し、そのカタツムリに寄生します。
その後、カタツムリが鳥に食べられると鳥に寄生し、成虫となり、また卵を産むという繰り返しになります。
ロイコクロリディウムもイリドウイルスも捕食者に食べられるように、宿主を誘導することで子孫を残し続けてきたのです。
ただ、イリドウイスルの実際の感染経路がどのようなものであるのか、またどのような場所で発生しやすいかについては、まだはっきりしたことはわかっていません。
この青いダンゴムシは、全国どこの地域でも確認されているため鳥のような目線を持っていれば、どこかで見かけることがあるかもしれませんね。その際はぜひ近くで観察してみてください。