どれくらいのペースで運動をすればメンタルに良いのか
運動は循環器系の疾病、脳卒中、肥満などのあらゆる原因の死亡率を低下することが良く知られています。
しかし運動と精神的健康の関連を調べた研究は存在するものの、その関係性ははっきり分かっていません。
ひとつ具体的な研究の例を挙げると、イギリスのブリストル大学の研究があります。
その研究では、18-69歳の男女361名を対象に、実験期間に運動をするよう指示される人と、指示されない人の2つのグループに分け、運動が精神的状態に与える影響を検討しています。
結果、運動は精神状態に良い効果をもたらしますが、10代においてはそのような効果はありませんでした。
このような年齢層で違う傾向が確認された原因の1つには「サンプルサイズが少ない」ことがあったと考察されています。
また、どれくらいの頻度・強度・時間で運動に取り組めば、メンタルに一番良い影響を与えることができるか、一方で運動のやりすぎによりメンタルに悪影響はないかはわかっていませんでした。
運動が精神的健康を改善するのであれば、どれくらいのペース・強度・時間で運動をすればよいのかを明らかにすることは、多くの人にとって有益なはずです。
そこでイギリスのオックスフォード大学のサミー氏らの研究チームは、今までの最大規模の120万人以上の健康データを使用し、運動と精神状態の関係性を検討しています。
研究チームは、2011年、2013年、2015年に行動危険因子監視システム調査により収集された米国の120万人以上のデータを使用しました。
行動危険因子監視システム調査とは、米国全土で毎年行われる自己報告式の電話調査です。集められたデータを分析し、一般的な健康状態に関連する行動リスク要因に関する有病率データを提供しています。
彼らは運動をしている人と運動をしていない人の自己申告による精神的な落ち込みを経験した日数を比較。
そして年齢、人種、性別、婚姻歴、年収、教育年数、BMI、身体的健康度の影響を除くため、調整を行ない、運動の有無と精神的状態の関係性を分析しました。
さて運動の有無は精神面にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。