繰り返し謝る場合には謝罪の質が問われる
頻繁な謝罪がもたらす効果に関する研究として、2021年の「Personality and Social Psychology Bulletin」に投稿されたピッツバーグ大学のカリナ・シューマン氏(Karina Schumann)らの研究があります。
彼らは、小説の中に出てくる登場人物の謝罪の頻度や現実場面の会話における謝罪の頻度を変え、印象形成がどう変わるかを検討しました。
実験の結果、謝罪を繰り返す人は誠実で優しいと思われる傾向がありました。
しかしなんでもかんでも謝ることで人情深い人物だと思われる訳ではありません。
謝る必要性が低い場面で謝罪を繰り返していた人は、自己主張や自信がないという悪い印象を抱かれる傾向があったのです。
研究チームは「今回の研究結果は、ただ頻繁な謝罪が印象を良くすると言うものではない。重要なのは謝罪の質で、どうでも良いことに繰り返し謝ることは印象を低下させるリスクを持っている」と述べています。
この結果を考慮すると、不必要な謝罪を繰り返してしまう人は、前述した信頼性を獲得することは困難で、逆に印象の悪化を招いてしまう可能性が考えられます。
重要なのは誠実であるということです。意味もなく条件反射的に謝罪を述べる人は、むしろ謝罪に何の感情もこもっていないという印象を持たれても仕方がありません。
天候や渋滞は確かに自分に責任のある話ではありません。しかしこうしたケースに対する謝罪は、意味のない条件反射の謝罪とは異なり、相手がストレスを受けている要因を慮って出た言葉なのが重要なポイントです。
謝罪とは、責任の有無が重要なのではなく、相手の気持ちを慮り、誠実な気持ちで述べているかという「質」が大切なのでしょう。