高タンパク質の食事は筋肉の維持にも役立つ
高タンパク質食のメリットは、食欲のコントロールの他にもあります。
愛知医科大学の前田圭介特任教授らの研究グループが2024年6月に発表したメタ分析では、太りすぎの人たちが体重を減らす際のタンパク質の摂取量について詳しく調べています。
その結果、減量プログラムに取り組んだ際に、タンパク質の摂取量を増やすことで筋肉量の減少を防ぐことにつながることが分かりました。
具体的には、1日で体重1kgあたり1g未満のタンパク質摂取では筋肉量の減少リスクが高くなるのに対し、1.3g以上の摂取では逆に筋肉量の増加が期待できるという結果です。
仮に一時的に体重を落とすことに成功しても、脂肪ではなく筋肉が落ちた場合には、基礎代謝の低下や健康リスクの増加など、中長期的なデメリットが大きく、リバウンドもしやすくなります。
そういった健康面のデメリットを防ぐためにも、筋肉を作るための材料になるたんぱく質が豊富な食事はプラスに働きます。
また、従来、高タンパク質食は腎臓に悪いとされてきましたが、近年ではその見解を否定するエビデンスも報告されています。高タンパク質食が腎臓に負担を与えるとされる理由は、タンパク質を代謝処理する際に、腎臓のろ過機能が過度に活性化するというものです。
中国・南昌大学の研究グループが15万人近い人々のデータをもとに行ったメタ分析を見ると、総タンパク質、植物性タンパク質、動物性タンパク質(特に魚介類)の摂取量が多い人は、慢性腎臓病の発症リスクが低かったことが分かっています。
この結果は、タンパク質が腎臓に悪いとされてきた長年の懸念とは反対に、腎臓に対して高タンパク質食がむしろ保護的な効果を持つ可能性を示すものだとして注目されています。
以上、これまでに取り扱った研究を踏まえると、高タンパク質食は健康的なダイエットを成功させるための魅力的なアプローチと言えます。
ライディ准教授によると、特に朝食でタンパク質をしっかり摂ると、日中お腹が空きにくくなり、食欲コントロールにプラスに働くようです。
何かと忙しい朝は食べない、またはシリアルやパン、ジュースだけで済ませてしまいがちですが、これらの食事では十分なタンパク質はとれません。
最近では、コンビニでもプロテインドリンク、サラダチキン、サラダフィッシュ、ギリシャヨーグルトなど、高タンパク質な商品が数多く発売されています。
こういったメニューを常備しておき、朝一番に摂ることで、健康的に摂取カロリーを抑えるための1日のスタートが切れます。
「摂取カロリーを抑えよう」と思ってもついつい食べすぎてしまうという人は、タンパク質をしっかり摂ることを意識してみてはいかがでしょうか?