「バナナゲドン」を回避するための研究
1950年代以降、キャベンディッシュは世界中に広まり、高い人気を獲得してきました。
しかし、1990年代に「バナナパナマ病が再び発生した」という恐ろしい報告がもたらされました。
その時以来、新しいバナナパナマ病は、東南アジアからアフリカ、中央アメリカまで、まるで山火事や野火のように広がってきました。
2度目のバナナの終末が訪れるのも時間の問題です。
多くの研究者たちがこれを問題視し、食い止める方法を探してきました。
リージュン・マー氏ら研究チームも同様であり、この新しいバナナパナマ病について10年間、研究を続けています。
そして最近、新しいバナナパナマ病のメカニズムの一部を解明することに成功しました。
まず、1950年代にグロスミッチェルを滅ぼしたバナナパナマ病は、菌類(カビ)の一種であるフザリウム属の病原菌「Fusarium oxysporum f. sp. Cutense(Foc)」が原因でした。
このフザリウム菌には多くの種類があるため、研究チームは、世界中の36種類のFoc菌株を解析し、比較しました。
その結果、過去にグロスミッチェルを滅ぼしたのが「Foc TR1」なのに対し、現在キャベンディッシュを脅かしているのは「Foc TR4」だと判明。種類が異なっていたのです。
マー氏も、「キャベンディッシュを枯らす病原菌TR4は、グロスミッチェルを壊滅させた種から進化したものではないことが分かっています」と伝えています。
またFoc TR4は、真菌の一酸化窒素を生成する遺伝子を使って宿主(キャベンディッシュ)を攻撃していることも分かりました。
一酸化窒素はバナナにとって有害です。
菌類が一酸化窒素を放出すると、バナナの免疫系が悪影響を受け、菌類に感染しやすくなるからです。
さらに研究チームは、Foc TR4から一酸化窒素の生成を制御する2つの遺伝子を除去すると、Foc TR4の毒性が大幅に低下することも突き止めました。
研究チームは、この発見を活用することで、「新しいバナナパナマ病の蔓延を防止・制御するための多くの戦略が生まれる」と考えています。
まさに、第二のバナナゲドンを防ぐ「一筋の希望」が見つかったのです。
私たちの食卓からキャベンディッシュが無くなる前に、研究者たちの今後の取り組みが成功することを願うばかりです。
ただしマー氏が指摘しているように、そもそもこのような問題が生じるのは、1種類のバナナしか世界で流通していないからです。
それでも、安価なバナナが求められること、同じ大きさ・形・味が求められること、インフラの固定化などを考えると、すぐに状況を変えるのは難しそうです。
今回のバナナゲドンを回避できたとしても、いずれ第3、第4のバナナゲドンが訪れるかもしれません。
バナナが無くなる?!
それはヤバいw