脚に「味覚センサー」が作る遺伝子を特定
チームがホウボウの遺伝子解析を行ったところ、「Tbx3a」という遺伝子が脚先の味覚センサーを形成するのに関わっていることは特定されました。
Tbx3aはホウボウだけでなく、ヒトを含む脊椎動物にも広く存在しており、四肢動物の手足の一部を作るのに関与していることが知られています。
続く実験で、野生のホウボウから遺伝子編集技術を用いてTbx3aを取り除いた結果、6本の脚が形成不全を起こすことを明らかにしました。
遺伝子編集されたホウボウは味覚センサーを失って、砂中の獲物を探し当てる能力を失ったことから、Tbx3a遺伝子はホウボウの脚と乳頭突起の両方の形成に関わっていると見られます。
Tbx3a遺伝子は非常に古くから生物の中に存在する遺伝子です。
驚くべきことに、ホウボウは私たちの手足の形成に関与するのと同じ遺伝子を使って、ヒレとは別に6本の脚を発達させ、さらに、それらの脚先に味覚機能までも装備してしまったのです。
これは広大な自然界の中でも異例の存在と言えるでしょう。
チームは今後、ホウボウがこれらの機能を進化させた遺伝的プロセスを詳細に明らかにしたいと話しています。