「幸せになりたい」という目標は、人を追い詰め、プレッシャーを与えると判明
分析の結果、幸福を常に重視する人は、全体的な幸福度が高い傾向にあると分かりました。
これはある程度、納得のいく結果です。
例えば、人生の中で「幸福感」を重視する人は、「義務感」を優先したり、「他人からの承認」をいつも求めたりする人に比べて、幸福感や喜びを感じやすいはずです。
ところが、今回の研究では、もう1つ重要なことが明らかになりました。
「幸せになりたい」という目標を持っている人は、その目標に応じて幸福度がどんどん向上していくわけではなかったのです。
この2つの要素から考えると、幸福を重視している人は、一般的には幸せな生活を送る可能性が高いですが、幸福への関心がさらに高まったとしても、1年後の生活満足度は大して変わらないと分かります。
なぜ「幸せになりたい」という目標は、そこまで人を幸せにしないのでしょうか。
ファン氏は、「『幸せになりたい』という目標に注目すればするほど、それを達成しなければいけないというプレッシャーを感じやすくなったり、幸せが得られるかどうか過度に心配したりする」と説明しています。
幸せを願うのは自然なことですが、人生の目標にするには漠然としており、何をもって達成されるのか判断しづらいものです。
結果として、その願いは人を幸せにする行動に繋がらず、望んでいるほどの「幸せ」の自覚も得られません。
自分で思い悩んだり、周囲と比較したりして、プレッシャーや不安ばかりが強くなってしまいます。
では、幸せを望む私たちは、何を目標にすればよいのでしょうか。
今回の研究は、「幸せになること」を一番の目標として追及するべきでないことを示しています。
だからこそファン氏は、幸福は目標ではなく「最終的に得られる結果(または副産物)」として捉えるよう勧めています。
私たちは「幸せになりたい」という漠然とした目標を持って闇雲にもがくのではなく、もっと具体的な目標に目を向けるべきなのです。
例えば、「愛する人や友人と時間を過ごす」「運動する」「自然と触れ合う」など、有益だと証明されている活動を目標にすることができます。
忙しく働いている社会人であれば、「来年はもっと幸せになる」という目標を持つのではなく、「来年はもっと家族との時間を増やす」という目標を持つと良いわけです。
音楽が好きな人であれば、単に幸せを求めるのではなく、「もっとギターを弾いたり、作曲したりする」ことに目を向けることができます。
そうするなら、幸せはつかみどころのないものではなく、必然的な副産物となるでしょう。
具体的なことを目標にして達成していけば、あなたは自分が幸せかどうか絶えず自問するまでもなく、いつも幸せでいられるのです。