カニミソの正体は?味噌でも脳みそでもない!
カニの甲羅を取り除くと見られる茶色から濃緑色のペースト「カニミソ」の正体は何でしょうか。
「カニミソ」という名前ですが、当然、味噌でも、脳みそでもありません。
カニミソは、カニの中腸腺(ちゅうちょうせん)と呼ばれる器官です。
中腸線は、エビやカニなどの節足動物の消化腺です。
ここは、脊椎動物の「肝臓」に相当する栄養摂取に関わる生理機能と、「膵臓」に相当する消化酵素を分泌する機能を有しています。
そのため、中腸線は「肝膵臓」とも呼ばれていました。
私たちは、カニの肝臓や膵臓のような部位を、カニミソと称して食べていたのです。
ちなみに、私たちは、カニ以外にも中腸腺を食べることがあります。
例えば、イカの塩辛にはイカの内臓が使用されますが、これは主に中腸腺のことです。
イカの塩辛特有の味わいは、この中腸線や発酵・熟成過程が関係しているのです。
また「肝臓を食べる」という習慣自体も一般的であり、アンコウの肝臓である「あんきも」、ガチョウやアヒルの肝臓である「フォアグラ」などが有名です。
とちらも、なめらかで濃厚な味わいが特徴の珍味ですが、「カニミソ」を食べることもこれらに近い食習慣なのかもしれません。
ここで、カニミソについてもう少し詳しく考えてみましょう。
私たちがカニミソを食べる時、実はそこにカニの中腸腺以外のものが含まれているケースがあります。
それが中腸腺近くにある「精巣」や「卵巣」です。
オスの場合、中腸線近くには白い粒が帯状になった精巣(または白子)があり、濃厚な味わいを楽しめます。
「カニミソ」として提供される場合、中腸線に精巣が含まれることが少なくありません。
またメスの場合は、甲羅の中に、鮮やかなオレンジ色をした「卵巣(または内子)」があります。
こちらも珍味であり、人によって好き嫌いが分かれますが、こちらも濃厚でクリーミーな味わいを楽しむことができます。
加えてメスでは、茶色い粒々の「カニの卵(外子)」が入っている場合もあります。
魚卵のようなプチプチとした食感ですが、味はほとんどありません。
カニミソと内子・外子は、はっきりと区別できますが、調理の際に混ぜたり、そのまま一緒に啜って食べたりすることも多いでしょう。
カニミソの正体は、カニの肝臓や膵臓にあたる部分でした。
精巣や卵巣と共に食べることもあり、これがカニミソをいっそう深い味わいにしています。
次にカニを食べる時には、旨味エキスを含んだカニの身と、生命力を凝縮したようなカニミソを、もっと楽しめることでしょう。
カニ味噌は別名をかにばばということを知り、ではあれは蟹の排泄物かと思っていましたがちゃんとした臓器の一部とわかり、安心しました。