「ネコ型ロボットのすり寄りでストレスは減る」と判明
筑波大学の研究チームは、猫のすり寄せ行動を再現するロボットを開発しました。
このロボットの最大の特徴は、「首の柔軟性を変えられる可変剛性機構」を搭載している点です。
この機構により、ロボットはより自然なすり寄る動作を実現できるようになりました。
そして研究チームは、このロボットを用いて、ロボットのすり寄る動作が人間のストレスに与える影響を検証しました。
実験には筑波大学の学生22名が参加し、ロボットの首の剛性を3つの異なる設定(低剛性、高剛性、可変剛性)に調整しました。
参加者はロボットを抱え、40秒間すり寄せ動作を体験しました。
この体験の前後で、気分を測定する「Temporary Mood Scale(TMS)」質問紙を用いて緊張度を測定し、ロボットとの接触がどのように心理状態に影響を与えるか調査しています。
実験の結果、すべての設定において、ロボットと触れ合った後に参加者の緊張度が有意に減少することが確認されました。
統計的には3つの設定間で有意な差は認められませんでした。
しかし、参加者の自由記述では、「剛性が変わると本物のように感じられ、最もリラックス できるように思えた」「強弱の違いが感じとれて、より生命感があり自然に思えた」など、可変剛性設定に対してポジティブなコメントが多く寄せられており、剛性変化の有望性が示唆されています
この研究は、ロボットが人にすり寄ることで、ストレス軽減に役立つ可能性があることを示しました。
今後の課題としては、可変剛性機構を改良し、より自然な動作を実現したり、長期的な使用による心理的影響を調べたりする点が挙げられます。
未来のセラピーロボットは、より動物に近い動きをすることで、ペットを飼えない人の心の支えとなる可能性があります。
21世紀のネコ型ロボットは、「頭をすり寄せる」癒し系なのかもしれません。