投資とは何かを考える
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ここまで投資、投資と繰り返してきましたが、そもそも投資とはどういうものなのでしょうか?
現代では資産を投資に回すという考え方をする人は一般的になってきました。
しかし、皆さんはいざ投資をしようというとき、その投資先をどのように決定しているでしょうか?
多くの場合、投資をする際には、単に過去の業績や現在の市場価格から判断して、堅実に成長している会社を良い会社と判断して投資する場合が多いかもしれません。
これは正しい判断ですが、投資を行う場合、過去の実績や現状だけでなく、将来の変化を見据える視点 が重要になります。
例えば、トヨタ自動車は世界的に成功したメーカーの一つですが、現在の電気自動車(EV)推進の流れを考えると、将来の市場において不確実性が高まっているとも言えます。
従来、トヨタの強みは、複雑なガソリンエンジンの効率的な製造技術や流体力学を活かしたシミュレーションにありました。
しかし、EV市場では、そうした技術があまり必要とされません。
電気モーターの回転にはガソリンエンジンのような複雑さはなく、EVでは基本的にモーターから直接駆動輪へ動力を伝えることができるため、従来の自動車業界で培われた複雑な多段変速技術(トランスミッション)も不要になります。
そのため、電気自動車の推進が世界的に進むと、これまではノウハウのあるメーカーに牛耳られていた自動車産業に、新興企業が参入しやすい構造になっていきます。
そうなると「現在のトヨタの安定性」だけを見て投資した場合、5年後、10年後にリスクを抱える可能性が出てくるのです。(※あくまで例えであって事実ではありません)
投資家としての脳を鍛える
こうした投資の意思決定にも神経経済学(Neuroeconomics) の視点が大きく関わっています。
投資を成功させるには、単に市場のトレンドを読むだけでなく、脳がどのようにリスクと報酬を評価するか を理解することが重要です。
例えば、投資家の脳では 前頭前野(Prefrontal Cortex) と 大脳辺縁系(Limbic System) のせめぎ合いが常に起こっています。
前頭前野は 論理的な分析 や 長期的な計画 を担う部分であり、冷静な投資判断を助けます。一方で、大脳辺縁系は 短期的な利益 や 感情に基づく意思決定 を司り、株価の急変動やニュースに対して即座に反応しやすくなります。
さきほどのトヨタ自動車の例え話で考えると、将来性を評価する場合、多くの投資家は「過去の業績が良いから大丈夫だろう」と考えがちですが、これは 「現状バイアス(Status quo bias)」 と呼ばれる心理的な偏りによるものです。
脳は 「変化を嫌い、現在の状態を維持しようとする」 傾向があるため、EV時代の到来という明らかな変化を過小評価し、リスクを見逃してしまう可能性があるのです。
また、リスクをどう評価するかも脳が持つ活動傾向が大きく影響します。
人の脳には損失回避バイアス(Loss Aversion Bias) というものがあり、脳は「利益を得る喜び」よりも「損失で受ける痛み」 を強く感じます。そのため、株価が一時的に下がるとパニックに陥り、本来の計画を無視して売却してしまうという行動が増えるのです。
これを繰り返していれば、当然損失額の方が利益額を上回ってしまいます。
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これを防ぐには 「冷静な判断をする訓練」 が必要です。
投資を行う際は、短期的な市場の変動に左右されるのではなく、長期的な視点を持つことが成功の鍵となります。
これも性格だから無理ということではなく、脳の前頭前野を鍛えることで、感情に流されずに 戦略的な投資判断 を行えるようになるのです。
まとめ:お金持ちの脳は「後天的に鍛えられる」
お金持ちの脳には特別な何かがあるわけではありません。
むしろ、日々の習慣や意思決定の積み重ねが脳の使い方を変え、それが経済的な成功につながっているのです。
短期的な快楽に流されず、長期的な視点で物事を判断すること。
様々なことに興味を向けて広い視野を持ち、冷静な決断力を養い、必要のない出費を抑え、投資の機会を意識すること。
そして、小さな成功体験を積み重ねることで、金銭管理に自信を持てるようになること。
こうした思考習慣が「お金持ち脳」を作り上げます。
つまり、今の自分がどのような脳の使い方をしているかが、未来の資産を決めるのです。
「お金は人を映す鏡」とも言われます。
あなたが今日選ぶお金の使い方が、数年後のあなた自身の姿を決めることになるかもしれません。
今日の選択を少しだけ意識してみることで、より良い未来が待っているはずです。