「周囲と馴染めない感覚」があっても幸福でいるには?
「自分だけが周囲と違う」という感覚は、大人になっても苦しいものですが、特に思春期や青年期においては、メンタルヘルスに大きな影響を与える要因となります。
思春期は、自我の確立と社会的関係の形成が急速に進む時期です。
だからこそ、周囲との価値観のズレや孤独感は、大きなストレスや不安となって心を揺さぶるのです。
このような社会的疎外感は、心理学の分野では、自分の価値観が社会の主流と合っていないという状態を意味します。
強く感じる人ほど、抑うつ傾向や不安感が高くなる傾向にあります。

ところが近年の研究では、社会的疎外感が強くても、高い幸福度(ウェルビーイング)を維持できている人たちが一定数存在することがわかってきました。
ここで登場するのが、ウェルビーイングという概念です。
これは単に幸せや気分が良いという状態にとどまらず、人生に満足し、自分の存在価値を実感しながら前向きに生きている状態を指します。
では、このウェルビーイングを保っている人たちは、何を心の支えにしているのでしょうか。
近年注目されているのが、ペットとの関係がもたらす心理的な効果です。
ペットは家族であり、時に親友でもあります。
その存在が、私たちの心にどんな影響を与えているのでしょうか。
今回の研究では、社会的疎外感が高い人の中でも、ウェルビーイングが高い人と低い人の違いはどこにあるのかを明らかにするために、特に若者に焦点を当て、ペットとの関係性(態度や愛着)を分析しました。