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太陽の南極画像 / Credit:ESA & NASA/Solar Orbiter/EUI Team, D. Berghmans (ROB)
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人類初の「太陽の南極画像」をESAが公開!明らかになった”混沌”とは?

2025.06.16 11:30:11 Monday

私たちは毎日空に輝く太陽を目にします。

そして新聞やニュース、学校の理科の教科書にも、鮮明な太陽の画像が数多く掲載されています。

ですが、これらの画像が「どこから撮られたものか」を気にしたことはあるでしょうか?

実は私たちが見慣れている太陽の画像は、ほぼすべて地球の軌道面=黄道面上から撮影されたものであり、太陽の赤道付近しか見えていないのです。

つまり、太陽の北極や南極がどうなっているのか、私たちはこれまで一切見ることができなかったのです。

そんな中、2025年3月、欧州宇宙機関(ESA)が主導し、アメリカ航空宇宙局(NASA)と共同運用する探査機「ソーラー・オービター」が、人類史上初めて太陽の南極を直接撮影することに成功しました。

この観測結果は、2025年6月11日にESAのプレスリリースとして発表されました。

Solar Orbiter gets world-first views of the Sun’s poles https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Solar_Orbiter/Solar_Orbiter_gets_world-first_views_of_the_Sun_s_poles

200年研究しても謎だらけ!太陽の極観測は宇宙でも難しい「のぞき見」だった

太陽地球からわずか約1億5000万キロの位置にある、最も身近な恒星です。

しかしその割には、私たちは太陽の正体について、まだ少ししか知りません。

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太陽の画像はどれも赤道付近のもの。 / Credit:Wikipedia Commons

その理由の1つが、観測可能な位置の制限です。

地球は、太陽の赤道に対して約7.25度傾いた面(黄道面)上に存在しています。

他の多くの惑星や運用中の宇宙船もその傾向は変わらず、赤道からやや傾いた面に位置します。

そのため、どんなに高性能な望遠鏡や人工衛星を使っても、私たちが観測できるのは、太陽の「赤道付近」に限られています。

つまり、これまで人類は、太陽の南極や北極を真正面から見ることはできなかったのです。

とはいえ、太陽の極域には私たちの生活に直結する重大な情報が詰まっています。

たとえば、太陽の磁場はおよそ11年周期で「反転」することが知られており、この磁場の再編が太陽フレアや太陽風の強度と発生時期に深く関与しています。

【太陽活動が極大期に達した】NASAが公式発表「この状態はあと1年は続く」

そして、この反転の舞台となるのが、まさに南北の極域なのです。

ところが、その重要なエリアがずっと未観測でした。

これが太陽観測における大きな空白地帯であり、科学者たちにとっては最大のフロンティアだったのです。

そんな状況に、ついに終止符が打たれました。

2025年3月、ESAの太陽観測衛星「ソーラー・オービター」によって人類史上初の「太陽南極画像」が取得されたのです。

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