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Credit: canva
technology

水中居住装置「ヴァンガード」を試作発表

2025.10.31 22:00:03 Friday

海の深みに人が“住む”時代が、現実になるかもしれません。

英国の企業DEEP(ディープ)が開発を進める水中居住装置「ヴァンガード」が、アメリカ・フロリダ州マイアミでその試作機を初公開しました。

この新しい「人間のための海中拠点」は、科学者たちがこれまで夢見てきた“海底生活”を可能にし、海洋研究の舞台を大きく進化させようとしています。

Underwater ‘human habitat’ designed to let scientists live and work below the surface https://phys.org/news/2025-10-underwater-human-habitat-scientists-surface.html

「数時間」から「1週間」へ、水中研究の限界を打ち破る

従来の海洋調査といえば、スキューバダイビングなどで数時間だけ海中に滞在し、限られたデータやサンプルを集めて陸に戻るのが主流でした。

しかし、地球の海にはまだ誰も立ち入ったことのない「未踏の領域」が数多く残されています。

これらの海域を、もっとじっくりと観察・調査したい。そんな科学者たちの夢を実現するため、DEEP社はヴァンガードの開発に乗り出しました。

イメージ映像はこちら。

試作機のヴァンガードは、現在水深20メートル地点に設置されており、最大で4人の研究者が1週間にわたって生活・研究できる設計です。

施設は「居住区」「ダイビングセンター」「基部」の3つの区画で構成され、居住区は長さ12メートル、幅3.7メートルの広さを持ち、食事や睡眠、仕事まで海中で完結できます。

海底にアンカーで固定される基部は、波や嵐から装置全体を守る役割を担い、ダイビングセンターから外部に安全に出入りできる構造です。

さらに水面には浮体構造物が設置され、圧縮空気の供給や電力供給、通信のハブとして機能。

外部の世界とつながりながら、長期間の滞在を実現します。

深海研究の“新時代”へ

DEEP社の主任エンジニアであるノーマン・スミス氏は「このような深さに人が自由にアクセスできるようになれば、全く新しい科学のフロンティアが開かれる」と語っています。

今後は水深200メートルまで到達可能なプロトタイプの開発も進めており、サンゴ礁の再生や海洋生物の長期観察といった保全プロジェクトの大幅な進展が期待されています。

ヴァンガードの実用化によって、私たち人類はついに“海の住人”となり、未解明の世界に一歩踏み出すことができるのかもしれません。

水中での長期生活がもたらす発見と変化に、今後ますます注目が集まります。

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