恐竜の化石に群がるオレンジ色の地衣類の謎を科学が解明

「地衣類は本当に化石の骨を好んで生えているのか?」
この問いに答えるために、研究チームは実際にカナダ・アルバータ州の恐竜州立公園にある恐竜化石が密集する「ボーンベッド」という場所で詳しい調査を行いました。
まず、研究者たちは現地で化石が集まる場所を探し、地表に露出している化石の骨とその周囲に転がっている岩や土の表面を詳しく調べました。
次に、それぞれの表面にどれくらい地衣類が生えているかを細かく記録しました。
これは「化石の骨」と「周囲の岩石」のどちらに地衣類がたくさん生えているかを統計的に確かめるためです。
その結果、化石の骨の表面ほど地衣類が集中的に生えているという強い傾向が見つかりました。
逆に、骨のすぐそばに大量に転がっている鉄分を含んだ石(鉄岩)には、地衣類があまり生えていないことが分かりました。
つまり、地衣類はただ単に「そこにあるもの」に無差別に生えるのではなく、明らかに「化石の骨」を好んで選んでいる可能性が示されたのです。
実際、研究チームが観察した最も顕著な例では、地表に露出した化石骨の表面のおよそ50%が地衣類で覆われていましたが、そのすぐ隣にある普通の岩石では1%未満しか地衣類が生えていないと報告されています。
これはかなり驚くべき差と言えるでしょう。
撮影された現地の写真を見ても、大きな恐竜の骨がオレンジ色の地衣類でびっしり覆われている一方、そのすぐ周囲の地面にはほとんど地衣類がない様子が明確に映っています。
先にも触れたように、まるで骨が特別な魅力を持っているかのように地衣類が選択的に生えることが、視覚的にも確認されたのです。
研究チームは、ここで「色」に注目しました。
地衣類や化石の表面は、それぞれ特有の「光の反射パターン(スペクトル)」を持っています。
これは、地表が光を受け取って、それをどの色の光として跳ね返すかという性質です。
実際に地衣類の反射パターンを調べてみると、地衣類は青い光(波長400〜500ナノメートル付近)をあまり反射しませんでしたが、逆に赤外線(近赤外から短波赤外の波長800〜1400ナノメートル付近)では非常によく反射することが分かりました。
これに対し、化石の骨そのものやその周囲の岩石、砂地などは、こうした特有の反射パターンがなく、すべて似たような反射をしていました。
そのため、人の目や普通のカメラでは化石の骨を見つけるのは難しいのです。
ここで研究チームは、「地衣類だけが持つ特別な反射パターン」を利用するアイデアを思いつきました。
その反射パターンを目印にすれば、地衣類が覆っている化石の骨を空からでも見つけられるかもしれないと考えたのです。
これを可能にするために開発されたのが、地衣類特有の反射パターンを画像データから識別する「LSR/NDLI」という新しい解析手法です。
いよいよこの手法を使って、研究チームはドローンを飛ばして実際に空中から化石を探す実験を行いました。
ドローンには特殊なカメラを取り付けて、上空約30メートルから地表を撮影しました。
その撮影した写真をこの新しい手法で解析したところ、地表に露出している地衣類に覆われた化石の位置を、ドローンが未学習分類(あらかじめ教えなくても自動でグループ分けする方法)で抽出することに成功しました。
最後に、研究者たちはなぜ地衣類がここまで化石の骨に好んで生えるのかを考察しました。
恐竜の骨には微細な穴がたくさんあり、そこに水分や栄養素を貯め込むことができるため、地衣類にとって最適な「居住地」になるのではないかと考えられています。
さらに、骨の表面はアルカリ性でカルシウムなどのミネラル分が豊富であり、これが地衣類の好む環境条件にも一致しています。
まさに、化石の骨は地衣類にとって栄養が豊富な「貯水タンク付きのオアシス」のような存在だったのです。


























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