画像
トガリネズミの一種。(イメージとして) / Credit:Canva
animals plants

クリスマス島固有のトガリネズミが外来種によって絶滅【正式認定】 (2/2)

2025.11.06 06:30:40 Thursday

前ページ「オーストラリアのクリスマス島」固有のトガリネズミとは? 繁栄から「幻の存在」へ

<

1

2

>

クリスマス島のトガリネズミはどうして絶滅したのか?

クリスマス島のトガリネズミの絶滅は、外来種の持ち込みと、それに付随する新たな感染症・捕食圧が直接の引き金でした。

その最大の転機は、1900年ごろ、ヨーロッパ人の移住に伴って「クマネズミ(Rattus rattus)」が島に持ち込まれたことでした。

クマネズミ自体も餌や巣を奪う存在でしたが、さらに深刻だったのは黒ネズミが運んできた寄生虫や感染症です。

島の動物たちにとって未知の病原体は猛威をふるい、クリスマス島のトガリネズミや他の固有ネズミを急速に追いつめていきました。

1908年までに「すでに絶滅した可能性」が報告されていましたが、その後も奇跡的に生き残った個体が森の奥でひっそり息をつないでいました。

1950年代と1980年代の2回にわたって、それぞれ2匹ずつの個体が記録され、再発見に希望が持たれました。

しかし、これが最後の目撃例となります。

その後も島には、さらにさまざまな外来生物が入ってきます。

20世紀後半には、猫やヘビ、アシナガキアリ(Anoplolepis gracilipes)なども持ち込まれ、少数生き残っていたトガリネズミは捕食や環境変化にさらされ、さらに生存が難しくなりました。

絶滅危惧種に指定されて以降も、調査は続けられました。

カメラトラップ調査や、野良猫500匹以上の胃内容物調査、現地での集中的な探索も行われましたが、トガリネズミの痕跡は一切発見されませんでした。

2023年の論文では、クリスマス島のトガリネズミが絶滅している確率は96.3%と算出されており、以前としてその姿は確認できていませんでした。

そして2025年、ICUNにより、正式に「絶滅」と認定されました。

この悲劇は、「人間活動がもたらす外来種や感染症が、島嶼生物に壊滅的な打撃を与える」ことを如実に示しています。

島の生物はもともと個体数が少なく、外来種や環境変化への耐性が極めて弱い存在です。

一度バランスが崩れると、いくら広い保護区ができても、元に戻せない場合が少なくありません。

クリスマス島のトガリネズミがたどった道は、外来種による絶滅が世界中で起こり続けている現実への、私たちへの大きな警鐘といえるでしょう。

<

1

2

>

クリスマス島固有のトガリネズミが外来種によって絶滅【正式認定】 (2/2)のコメント

蛇ちゃん

人間による命の搾取、傲慢、人間ファーストの考え方が変わらない限りこの先も、たくさんの生物が命を奪われ尊い存在が犠牲になっていくのは目に見えている。
そしていずれ人類も自ら消滅していくのだろう。

    ケーロン

    いささか極端で悪意ある解釈だ
    人間全てが悪ではないし
    そもそも人類の全てがこのトガリネズミの問題をどうにかできたと思うのか?
    悪いのはオーストラリア周辺の人々であって全人類に罪を着せるのは傲慢そのものだ

    ゲスト

    ホモサピエンスが異常過ぎる
    数万年前から無数の大型哺乳類、ホモサピエンス以外の人類種、その他多くの動物種がホモサピエンスに滅ぼされてきた
    気候変動や適応失敗のせいっていうのもあるけど、それだけって言い逃れできないくらいには証拠が溢れてる
    同種の中ですら今や近代兵器で大量殺戮も容易な時代。修羅の種族だよね。そのうち自滅するんじゃねっていうのも荒唐無稽な話に思えない
    移住者が持ち込んだもので瞬く間に追い詰められるっていうトガリネズミが滅んだ流れは本当によくある展開だし、何なら文化レベルでは人類同士でも起こってきたことだし(アイヌとか)、現地の人が局所的に悪いんじゃなくて人類全体の業だと思う

    世界的に正念場

    善悪は別として、人間による小さな環境破壊は、何れ人間を破壊する序章に過ぎず人類滅亡も過言ではありません。これを少々乱暴な表現とするならば、先見の目が有るか、或いは知性が進化していない人間である。
    前者が保全を努力し、後者が政治的立場に立てば侵略は繰り返され、人類の種も限られたものだけになる。

とら

まあトガリネズミも海を渡ってきた外来種ということだったんであれば、こういうこともあるよね
もっと保全や養殖の技術に力を入れた方が良いと思う

    キャンサー

    トガリネズミが外来種と言っておりますが外来種とは人の手で人為的に持ち込まれた生物を基本的には外来種or国内外来種としているので自然の成り行きで偶然にも流木等が潮の流れや風の流れに乗ってその場所に流れ付き中に入っていた生物が定着した場合は外来種としては基本的に扱いませんし古来から生き物が分布を拡大する為にこの戦略を取る生物も結構います。
    この記事ではトガリネズミを扱っていますが同じような例で言うとヒラタクワガタの祖先もトガリネズミと同じように流木の中に成虫or幼虫が入ったまま潮の流れに乗りその土地に定着し独自の生態系に適応すべく進化し現在のたくさんの亜種が特定の島々に多数生息しており例に出したヒラタクワガタもトガリネズミは外来種ではありませんし植物でも種を潮の流れや風の流れに乗せて分布を広げる種類もいます。
    あなたのコメントを見て生物に詳しくない方勘違いする場合がある為ある程度知識をつけてからコメントすることを推奨します。

    何十世紀も跨いで進化してきた種を外来種呼ばわりするのなら、人間に置き換えればそれこそ人種に国境なんて無くなってしまう

    飛躍しすぎよ

ゲスト

メガソーラーやら山の開発で熊被害誘発してる日本も他人事じゃない

    ゲスト

    熊害が今年、日本で急拡大してしまっている理由は山林の開発ではありません。
    木の実の不作が原因であり、かつ猟師の減少で狩猟圧が長年下がっていたことで増えすぎたクマが里に下りてきてしまったのです。

    増えすぎて人間に害を与えるようになってしまったなら、クマを狩り、山を人間がクマから取り返さなければなりません。

    ゲスト

    短い目で見れば、人類による悲劇だけど
    長い目で見ればいずれ全て滅ぶ

    メガソーラーに関しては環境保全なのか破壊なのかよくわからないですよね。本末転倒?

    クマ

    今の熊は冬眠する為のエサがほしい。
    エサを山の中に落とせば山から中にいる。
    山にもエサになるドングリの木(コナラ・キヌギ)を多く植える。熊を殺す発想が悲しい。
    人間の都合でやり過ぎ、地球で共存です。

    ゲスト

    同意。どう考えたって昨今の熊被害は山の開発が原因ですよね。猛暑による木の実の不作もありますが、根本原因は木の実の生らない杉や檜などの植林による山林開発に端を発し、急増しているメガソーラーによる森林伐採。目の前の問題にだけ対処していれば、いずれ熊も絶滅の道を辿る。人間の都合の良い様に自然を蹂躙しておいて動物との共生など出来るはずがない。

    ゲスト

    メガソーラーがクマの原因とかトンチンカンなこと言ってるやつは勉強したほうがいい

    ゲスト

    熊とメガソーラーは何も関係ないのがたくさん証拠付きで出てるのに未だにこれ言う人はそう信じたいだけの人だよね
    メガソーラーが環境破壊してる例は沢山あれど、熊は関係ない

    ゲスト

    秋田はメガソーラーの被害無いんだよ
    と書くと、今度は「風車が!!!」ってのが湧くんだよ
    残念ながら秋田の風車は海岸線沿いで山には影響して無いし、その風車が大量にある場所に熊が出没してうろついてるんだよ
    そして風車じゃ無いとなると今度は「水力が!!!!」ってな

    未だに熊はメガソーラーのせいって言ってるのはただ「メガメガ」言いたいだけの何にも考えてない奴だよ

    ゲスト

    昨今の熊被害の原因は様々な要因の複合です。
    当然猟師の減少による狩猟圧の低下も要因の1つですが、それだけでは熊被害が今年になって急増したことに説明がつきませんし、いくら原因究明に関する研究があるといっても自然というあまりにも複雑な構造の前ではそれもあくまで憶測にすぎません。
    そもそも人ができる分析で絶対確実と言えるものは少ないのですから、自分の考えに固執せずメガソーラーやダム、風車、温暖化等々様々な可能性を吟味することが大切かと。

ななし

こういう絶滅の穴の一つが動物園だったのに海外はなんでか野生個体に並々ならぬこだわりがあるからなぁ

人間も自然の一部なのでしょうがないですね。

凡人

そもそも生物のレッドリストを刷新して来たのも人間である事実がとても悲しいです。人間がもたらす影響と脅威に地球と全土、全水、全空の生物が怯えながらも命を継続して来てくれた現状を全土の人間に知って貰うだけで報われる筈だと私は思慮深く思いました。こちらの啓発活動も国や街ぐるみで実施している事が当たり前になる日常を心より願っています..。

    amarift

    「思慮深く」は、自分には使わない方が良い言葉。
    凡人が無理に難しい言葉を使う必要は無いよ。

日本国内でも以前からブラックバス問題など有ったわけで他人事では有りません。
自分の都合で外来種を放ったりする事は慎むと共にその後起こるであろう事を良く考えて行動する必要が有ると思います。
保護はもちろんですが、やはり各々の意識や心がけも必要だと感じます。

ゲスト

これもひとつの生存競争だから仕方ないね

ゲスト

この先何年でどんだけの生き物が同じようなことになるんだろうな

トム

絶滅しなければいけないのは、人かも

    えんぜる

    私も同じことを思いました。絶滅して、そのままになるか、また新たな、人間のような生き物が生まれるか、解りませんが。

    えんぜる

    万が一、人間が絶滅してしまったら、環境は、元に戻るのだろうか?

    えんぜる

    このまま、環境が悪くなってしまえば、太陽でなくなる前に、生き物(人間も?)が居なくなってしまうかも┅

うらしん

むしろ大航海時代に船でネズミや猫、病気を世界中にばらまきまくってネズミどころか文明までなくなってるのに、20世紀までなかったことのほうが驚き。

おじさん

日本もすでに外来人間(アメリカ人、中国人、韓国人、クルド人等々)によって害を被っているので絶滅危惧種になるのも時間の問題。

    ゲスト

    昨今はアメリカ人よりアフリカ人だな
    しかも政治家の主導で

    匿名

    陰謀論者と情弱は救いようがないな
    差別と排他を当たり前にやる日本人の方が害だと思うが。

    そんな事も分かんないやつが良くもまぁ語れたもんだな。常識も倫理もねぇ馬鹿共が

ナッツ

依然としてでは…

ゲスト

そういう事になる種は幾らかいるでしょ
人間ファーストであればいいよ

    ゲスト

    これを引き起こしたのは人間ですけどね。

    ゲスト

    他の外来種よりも弱かったから絶滅した。
    数百年、数千年かけてその外来種がその地で独自の進化を遂げて固有種となるから問題ない。
    一種絶滅しただけで騒ぎすぎ

ゲスト

おぁ〜 やっちまったな

ゲスト

動物の話だけど、島国日本が外来種により乗っ取られていっている昨今の日本人の状況を見ている気持ちになりました。
対策をしてもXデーは迫っているのかもしれませんね。

    えんぜる

    このまま、環境が悪くなってしまえば、太陽でなくなる前に、生き物(人間も?)が居なくなってしまうかも┅

ゲスト

そもそもどこの時代まで遡って在来種・外来種と言っているのだ?そんな些細な出来事で絶滅するのであれば、どの道を辿ろうが絶滅していたでしょう。弱者は生き残れない、それが繰り返されてきた自然の摂理だったでしょ。

ゲスト

歴史は繰り返す

ゲスト

皆さん、絶滅しゃーない思考だけど、やはり人間が動物の絶滅を加速させているのは事実だと思います。重く受け止めるべきです。

ゲスト

地球の歴史からしたら絶滅した動物なんて今までたくさんあるのだろうし、トガリネズミは生存競争に負けたってだけだと思う。人間が持ち込んだ動物のせいみたいだけど、人間も自然の一部、動物と考えたら仕方ないことだと思うけどな。

ゲスト

Crocidura trichuraの標準和名は「クリスマスジネズミ」です。トガリネズミ科に含まれますが、トガリネズミ属(Sorex)ではなくジネズミ属(Crocidura)に属します。

ゲスト

外国から移民を受け入れてチーメス底辺女性の遺伝子を淘汰した方がいい
劣等遺伝子量産機チーメス

    ゲスト

    自分のかあちゃんをそんなに悪く言うでないよ

ゲスト

野良猫500匹の胃内容物調査!?
野良猫は原因外来種にカウントしないんだ…侵略的外来種だけど…
ネズミも鳥類の卵などを襲う深刻な外来種だが、ネコはそれ以上に捕殺圧と心理的駆除ハードルが高く、短期間で野生動物を絶滅させた例もあるワーストレベルの侵略的外来種であるし、野生動物(時には人間でも)を死に至らしめるSFTS,狂犬病なども媒介する。
ネズミ対策のために容認しているのであれば間違いだ。

いくら可愛くても、野生動物を脅かす外来種は人間が責任を取ってけじめをつけるべき。

全力で名無しさん

人類もいずれ絶滅するので

    エンゼル

    人類が絶滅するときは、地球もなくなる時でしょう。

ゲスト

Disneyやアニメのモデル種の害のない鼠が絶滅、我々が古来の画を特徴的画法と捉えるように、尖った顔を未来人は実在するモデルとは考えられないだろうね。

地球自体に起こっている変化

山は幾らでもあるとでも思っているのか、メガソーラーは、アーバン熊とは無関係だと唱える者は、現実を知らずに、自然の雄大さに己の小ささを重ねているだけだろう。
こうした人間は【身近なもの】ですら気付かず想像や疑問など思考力が無い。
日常の陰すら気に留めず、近年の1m未満の太陽光の角度変化すら気付かない。
酷暑で熱せられた金属により、近隣の木々は灼熱地獄になる範囲とは、人間の感じる範囲と動物では大差があるということだ。例えば人間が感じない生肉の臭いを、身近な少ペットは身体の何十倍も先から嗅ぎ分けて飛んで来る。
熊の餌になる動物の餌を、山が不作なのに茸狩り、Activity、素人による山への過度な踏み込みが、人間を恐れないキッカケ、そして子熊を雄熊に捕食されない為に、決死の覚悟で界隈に出没している。
メガソーラーは一因である。

トウキョウトガリネズミより『至極で会いましょう』

またやっちゃったよ!一体何種類の動植物を絶滅させりゃ良いのかね。環境圧力は南半球では低いが、独自の進化(例えば有袋類等)を遂げている生き物が多い。今回は外来生物による圧力。
つまり、持ち込みと運び込み。この生き物の環境への働きかけは全く研究されていないだろう。100数十年でいなくなった!
せめて、雌雄の完全な遺伝子が残っていないだろうか?絶滅期間が100万年とかならわかるが、単純に10の4乗倍のスピードでいなくなった。
これを破壊と言わずしてなんという。

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!