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CO2増加に伴いアマゾンの木々は成長している / Credit:Canva
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CO2増加に伴い「アマゾン最古の木々」が成長していた

2025.11.10 06:30:41 Monday

CO2の排出量が増え、気候変動が地球規模の問題として日々取り上げられる中、意外な発見が報告されました。

それは「アマゾンの原生林で、最も古くて大きな木々が、CO2濃度の上昇に伴い、いまもゆっくりと成長し続けている」というものです。

この驚きの成果は、イギリスのバーミンガム大学(University of Birmingham)など世界60以上の大学・研究機関、約100人の研究者の国際共同研究によるものです。

研究チームはアマゾン全域188か所の原生林を30年以上かけて観測。

その結果を、2025年9月25日付けで科学雑誌『Nature Plants』で発表しました。

The Amazon’s Oldest Tree Are Bulking Up As CO2 Levels Rise https://www.zmescience.com/ecology/climate/amazon-old-trees-growing-bigger/ The fattening forest: trees of the Amazon are getting bigger  https://www.eurekalert.org/news-releases/1099393
Increasing tree size across Amazonia https://doi.org/10.1038/s41477-025-02097-4

地球の肺「アマゾン」の木々は気候変動でどんな影響を受けているのか

地球最大の熱帯林であるアマゾンは、「地球の肺」とも呼ばれ、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して蓄える、重要な炭素貯蔵庫です。

森林がCO2を取り込むことで、地球温暖化の進行を食い止める役割を果たしているのです。

一方で、アマゾンでは近年、気候変動による気温上昇や干ばつ、雷や強風などの極端気象が増え、森の健康や炭素吸収機能が失われるのではないかという不安も高まっていました。

とりわけ、樹齢数百年を超えるような巨大な木々は、環境ストレスの影響で最初に死にやすいという仮説もありました。

また、近年の研究でアマゾンの森林全体が「炭素吸収源(カーボンシンク)」として機能していることは知られていましたが、「森の中でどの木がどう変わっているのか」「大木・小木・中木のどれがどんな影響を受けているのか」はほとんど分かっていませんでした。

そこで研究チームは、「アマゾンの森の構造が過去数十年でどのように変化してきたのか?」「大気中CO2の増加や気候ストレスが、木のサイズや成長にどう影響してきたのか?」を明らかにすることを目的に大規模な長期観測を実施しました。

調査は、南米9カ国にわたる188の長期観測プロット(それぞれ約1ヘクタール)で行われました。

調査チームは1本1本の木の直径を地道に測り続け、合計で数十万本に及ぶ木の成長記録を集積。

これらの観測データは、世界有数の熱帯林モニタリングネットワークであるRAINFORにより統合されました。

このようなスケールと緻密さでアマゾンの木の成長とサイズ構造を追跡した研究は、世界でも初めてです。

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