食性を決める腸内細菌
最近の多くの研究で、生き物の食べ物を決めるのに腸内細菌が大きく作用していることが示唆されている。
以前学術論文誌Scienceが“10年間の科学の10大成果”として上げた研究の中には腸内細菌相に関する研究が含まれていた。
Natureに報告されたある研究では、太っている人の腸内細菌を無菌状態で育てたマウスへ移植すると、そのマウスが肥満になったという結果が報告されている。これは食事の摂り方が腸内細菌を変化させ、またその差が個人の体型へ影響していることを示している。
また、海藻類は通常人間には分解できないが、日本人は独自に持つ腸内細菌によって処理可能であることがフランス人研究者により報告されている。こうした民族的な食性の違いについても腸内細菌が影響しているのだ。
吸血フィンチについても吸血行動を始めたのは、1982年頃、島がエルニーニョによる食糧難に見舞われた時期と言われている。かなり最近の出来事で、これは遺伝子の変化によるゆるやかな進化とは別の理由で起こっている。
吸血という、あまり好ましいとは言えない食事を吸血生物が安全に行える理由は、この特殊な腸内細菌の存在にあるようだ。
最近は動画でタガメを食べるのが流行っていたり、他の民族では食べる人がいるんだから平気だろうと異食、ゲテモノ食いへ走る人たちがいるが、科学的見地から言えば、同じ人間が食べているものでも、腸内細菌の環境が異なっている場合、体内でうまく処理できない可能性がある。
吸血フィンチは同じ種でも地域が異なると吸血はしなくなる。彼らもやはりゲテモノを食べているように仲間からは見られているのかもしれない。
普段食べないものを食べるときには、10兆近い自分の腸内細菌に変な負担をかけないかよく考えた方が良さそうだ。