アリが高速になった原因は「砂漠」にあり?
チーターにも勝る高速へと進化した理由は、生息環境にあります。それを理解するために、まずは砂漠の熱さについて説明しましょう。
乾燥地帯であるサハラ砂漠は1日の気温差が激しく、日中は灼熱地獄と化し、反対に夜間は凍えるように寒くなります。これは砂漠に水分がなく、「比熱」が小さいためです。
比熱とは、物質1グラムを1度上げるために必要な熱量のことで、固体では比熱が小さく、逆に液体は比熱が大きくなります。

地面に水分があると、昼は地表に当たる太陽光の熱を吸収して涼しくなり、夜は水分が熱を放出して比較的暖かい状態を保ちます。しかし、砂漠は水分が少ないので、太陽熱がそのまま地表に反映され、逆に夜は熱を留める水分がないため、極端に冷え込むのです。
要するに、砂漠はフライパンと一緒で、「熱しやすく冷めやすい環境」と言えます。実は、この環境こそが、シルバーアントを陸上最速の生物に進化させているのです。