- 50年前に地球に衝突したマーチソン隕石の中に含まれていた星間ダストが、50億〜70億年前のものであることが判明
- 星間ダストから得られたデータは、70億年前に天の川銀河で爆発的な星の形成が起こっていたことを示唆している
地球よりも古い物質が、地球上で発見されました。
その物質は宇宙を漂う星間ダストであり、1969年9月28日にオーストラリア・ビクトリア州に衝突した重さ100キロほどの「マーチソン隕石」に含まれていたものです。
今回フィールド自然史博物館(米)の研究により、星間ダストの形成年代は50億〜70億年前であることが判明しました。星間ダストは、地球だけでなく、太陽よりも古いものだったのです。
「この星間ダストは、太陽系誕生以前の原始星雲から作られたもので、地球上で入手できる史上最古の物質である」と研究主任のフィリップ・ヘック氏は指摘します。
研究の詳細は、1月13日付けで「PNAS」に掲載されました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/01/07/1904573117
太陽より30億年も古い?
研究チームはマーチソン隕石から採取された40ほどの石片を分析。これらを粉砕し酸を加えることで鉱物やケイ酸塩を溶解させ、酸に耐性のある星間ダストだけを抽出しました。
星間ダストは宇宙空間に無数に漂っており、新しい星や小惑星の形成時に材料として含まれるものです。マーチソン隕石も、元はより大きな小惑星の一部だったのですが、分離して地球に飛来してきました。
星間ダストの多くは、長さ1マイクロメートルほどの微粒子ですが、今回採取されたサンプルは、どれも2〜30マイクロメートルあります。それでも、人の毛髪の太さが大体100マイクロメートルであることを考えるとかなり小さなものです。
形成年代は、星間ダストが地球に衝突するまでに曝された放射線を測ることで特定されました。この方法は例えるなら、雨降る野外に置いたバケツに、どれだけ水が溜まっているかを調べることで外に置いていた時間を特定するようなものです。
その結果、星間ダストの6割は46〜49億年前のものであることが判明しており、中には70億年近く前のものと推定されるダストもありました。太陽が46億年前、地球が45億年前に誕生しているので、この星間ダストが極めて古いことが分かります。
これほど古い星間ダストが地球上で発見されたこと過去にありません。地球形成時に集められた星間ダストは、後にプレートテクトニクスや火山活動により、激しく熱せられて消失してしまったと考えられるからです。
さらに、このデータは、約70億年前に星が爆発的に形成されたという仮説を支持するものとなっています。ヘック氏は「天の川銀河における星の形成速度は一定であるよりもむしろ、周期的に爆発的な形成時期が繰り返されているのかもしれない」と指摘します。
それを証明するためにも、この太古の星間ダストが貴重な情報源となるでしょう。