目的別にプログラムしてみた
基本モデルは直進だけするように設計されましたが「もっと複雑な動きも可能ではないか?」と、研究者は考えました。
そこで、今度はパラメーターを書き換え、小さな荷物を1点に押し込んで動かないようにするシミュレーションを行いました。
そして得られた設計図通りに、再び細胞を組み合わせ、荷物操作を目的としたゼノボットを組み上げました。
結果は今度も大成功で、ゼノボットの細胞はお互いに連動して、小さな荷物をエネルギーが尽きるまで押し続けようとしました。
さらにプログラムを改良することで、荷物操作ゼノボットは特定の場所から荷物を排除したり、逆に荷物を集めたりすることも可能となります。
研究が進めば、動脈硬化を起こした血栓も、この荷物操作型のゼノボットで治療できるでしょう。
またゼノボットの内部にドーナッツ状の空洞を作り、内部の空洞に荷物を抱え込んで運搬を行うプログラムも、有効に働きました。
こちらの運搬ゼノボットは、体内の目的地まで内部の荷物を保護したまま輸送することが可能で、患部に直接薬を届けるスマートドラッグの仕組みなどに使えると思われます。
プログラム可能な生命には、医療分野をはじめ幅広い活用が期待されているのです。
また研究者は、ゼノボットの材料に、皮膚や筋肉だけではなく、中枢神経の細胞を使うことを考えているとのこと。
現在この研究は、米国国防高等研究計画局(DARPA)によって資金提供されています。
どうやら軍は、プログラム可能な知的有機生命体の軍事利用に興味があるようです。
将来、生命でもロボットでもないゼノボットを、人類がどのように利用するのか、興味が絶えません。
「フォックス…!」「ダーイ…… …じゃない!」