シャコの拳は「ナノ粒子」でコーティングされていた⁈
研究主任のデビッド・キサイラス教授は「もし私たちが、シャコのパンチ力とハンドスピードで壁を殴り続ければ、拳の方がオシャカになります。しかし、シャコの拳には何のダメージもなく、一体どのような構造をしているのか非常に不思議でした」と話します。
そこで教授と研究チームは、2種類の顕微鏡、「TEM(透過型電子顕微鏡)」と「AFM(原子間力顕微鏡)」を用いて、シャコの拳を調べてみました。
TEMは、電子を当てることで対象を透かして見ることができ、AFMは、対象を専用の探針でなぞることで、表面の微細な凹凸を観察できます。
その結果、シャコの拳は、特殊な構造で結びついた「ナノ粒子」のコーティングが施されていたのです。
まず、ひとつひとつのナノ粒子は、球体状になっており、「柔らかい有機物(タンパク質、多糖)」と「硬い無機物(リン酸カルシウム)」が結合してできていました。
そして、無数のナノ粒子が、組み合わさって特殊な結晶構造を作り、拳の表面を覆っていたのです。