長期間に及んだ高エネルギー宇宙線の影響
この宇宙線は地球のオゾン層を破壊して、長期間に渡り地球生命に放射線損傷を引き起こした可能性があります。
そしてそれが生命の多様性の喪失や、植物胞子の変形として現れたのでしょう。
しかし、これも現在のところ仮説の域を出ることはありません。遠方の超新星がデボン紀後期に発生した証拠はまだないのです。
この事実は遠くの超新星によってのみ地球に堆積する可能性のある、古代の放射性同位体を探すことで明らかにできるかもしれません。
とくに同時代の地層からプルトニウム244やサマリウム146といった同位体が見つかれば、それは今回の絶滅仮説を強く支持する証拠になります。
遠い宇宙とはいえ、超新星が地球にそれほど影響を与えるとなると、最近超新星の危機が叫ばれたベテルギウスの存在が気になってしまいますが、ベテルギウスは地球から600光年以上離れています。
この距離ではデボン紀のような災害は起きない可能性が高いでしょう。
しかし、長いスケールで見れば、私たちを襲う自然災害は地球上だけでなく、宇宙からもやって来る可能性があるのです。それは地球が宇宙の一員である以上、避けられないことなのかもしれません。
この研究はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の天体物理学者Brian Fields氏が率いる研究チームより発表され、論文は『米国アカデミー紀要:PNAS』に8月18日付けで掲載されています。
https://www.pnas.org/content/early/2020/08/17/2013774117
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/15129