化学物質の注射でマウスは全身を引っ掻きはじめた
かゆみは、皮膚トラブルの最も典型的な例であり、古くから多くの対症療法が考案されてきました。
その中で、最も簡単で安全かつ効果的な方法として、皮膚摩擦が知られています。
かゆみを感じる時に、体のあちこちの皮膚をこすると、自然とかゆみが緩和されていくという不思議な現象が起こるのです。
しかしながら、この摩擦によるかゆみ抑制の背後にあるメカニズムは判明しておらず、経験的な医療として考えられてきました。
そこで今回、研究者たちは皮膚摩擦がかゆみを抑制する仕組みの本格的な解明を試みました。
実験にあたってはまず、マウスにかゆみを誘発する化学物質を注射。すると化学物質によりマウスは凄まじいかゆみに襲われ、激しく後ろ足で体を引っ掻くような動作をはじめます。
このときマウスの脊髄を生きたまま開いて神経活動を覗きみると、かゆみを脳に伝達する脊髄の「かゆみ経路」が大きく活性化している様子が観察されました。