エナジードリンクのデメリット2 心筋細胞への影響

一方、テキサスA&M大学の研究チームは、エナジードリンクの身体に及ぼす影響について調査を行っています。
そして彼らが発見したのは、一部のエナジードリンクが心臓の筋肉細胞に悪影響を与えるというものでした。
エナジードリンクの摂取は、心臓の不適切な鼓動、心筋症(心臓が血液を送り出すことを困難にする症状)、高血圧などに関連していると彼らはいいます。
研究チームを率いるイヴァン・ルシン教授は「エナジードリンクはたしかに人間の健康へのさまざまな悪影響と関連しており、それらの多くは心臓です」と述べています。
エナジードリンクの世界的な消費量は増加傾向にあり、すべての年齢層が店頭で入手できるため、その健康への悪影響は懸念事項です。
研究チームは広く入手可能な17の市販ブランドのエナジードリンクを使って、調査を行いました。
研究では、iPS細胞由来の心筋細胞を使って、各ドリンクによる処理を行って、電気生理学的な影響(拍動速度、イオンチャンネル機能、細胞毒性)を調べ、数学的モデルによって悪影響のある成分の判定を行いました。
その結果、エナジードリンクに含まれるテオフィリン、アデニン、アゼレートが心筋細胞に悪影響を与える可能性のある成分として特定されたのです。
「エナジードリンクの心臓に悪影響を与える可能性のある成分についてはほとんど知られていません」とルシン教授は説明します。
今回の結果についても、特定の年齢層と感受性の高い集団をきちんと調べていき、注意書きをつけるなど検討していく必要があると研究者は話しています。

これらの研究報告が示すように、実のところエナジードリンクの悪影響に関する研究は途上のもので、明確な答えが出ていません。
ただ、多くの人が薄々感づいている通り、エナジードリンクの強い効果は、何らかの健康を犠牲にして得られる「元気の前借り」である可能性がかなり高いと考えられています。
はっきりした影響が示されない状況で、いたずらに不安を感じる必要もないでしょうが、あまりに多用することは控えた方がいいかもしれません。