食品廃棄物を建材に変える新技術
今回の研究は、こうした食品廃棄物を再利用するための新技術を開発するものです。
そのために研究チームが試したのは、食品廃棄物をフリーズドライに変えて粉砕した後、それをさまざまな条件で加熱形成するという方法でした。
この結果誕生したのが、完全植物由来でありながら、建材にも利用できるほどの強度を持った新素材です。
驚いたことに、この新素材はもとが野菜や果物であるにも関わらず、原料によっては一般的なコンクリートと比較して、4倍近い強度が確認されているのです。
なんで食品をもとにそこまで強度があげられるのでしょう?
残念ながらまだ、その厳密なメカニズムは検討中の段階です。
ただ、研究者たちは野菜や果物の熱圧縮成形は、熱によって食材中の糖類を軟化させ、これが圧力によって素材中の隙間を埋めるためではないかと予想しています。
チームによると、この熱圧縮成形は素材によって異なるものの、約100℃前後、20MPa前後でおこなうのが最適とのこと。
また、木材でも利用される耐水処理を施せば、耐水性の求められる環境でも、この素材は利用することが可能です。
面白いことに、この素材はもとが食品であるため、原料の質感、色や香りを継承できます。もちろん逆に除去することも可能です。
さらに、粉末にした廃棄野菜や果物に塩や砂糖、コンソメパウダーなどの調味料を加えておくことで、強度を維持したまま味を向上させることもできるのだといいます。
コンクリートより硬い建材が美味しくなってどうする? という気もしますが、研究者はこの新素材が、使用後に食用として活用することもできると期待をよせているようです。
この新素材を食べるかどうかはともかく、この新技術は、廃棄野菜・果物の焼却や埋め立て、堆肥化による窒素過多を回避しながら、建設用にも使える新しい資源を確保するという完璧な解決策を実現させています。
これは環境負荷への低減につながり、今後の活躍が期待されます。