多核は自然淘汰を促すベースでもある
多核化した真核生物の先祖はどのように細胞分裂を行っていたか?
その答えは上の動画のように、偶然に任せた「ランダム」なものでした。
多核化して巨大になった細胞は表面から胞子のように細胞を放出する能力がありましたが、その細胞に含まれる内容物はランダムでした。
放出されたある細胞には核かミトコンドリアの1種類しか含まれていなかったり、両方が含まれている場合でも適合度の不一致のために、放出後間もなく死亡するものが多かったのです。
ですが時には、上の動画のように、核とミトコンドリアの適合性が比較的高い細胞が放出され、新たな多核細胞の母体となる場合もありました。
これはある種の自然淘汰であり、より適合度が高い核とミトコンドリアの組み合わせを創出する仕組みもなります。
高い適合度を持った細胞が生き残って多核化し、より適合度の高い細胞を放出する母体となるのです。
そしてある時点に達したとき、核とミトコンドリアに完璧な適合性を持った細胞が放出されます。
新たな細胞は、生存するにあたり多核化のサポートが必要がないため、1細胞1核+ミトコンドリアの状態で生きていくことが可能でした。
この段階に至ったものが、既存の常識が描く、いわゆる1細胞1核の真核生物の祖先となります。