朝食の定番コーンフレークはいかにして生まれたのか?
朝食の定番コーンフレークはいかにして生まれたのか? / Credit:canva
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コーンフレークは「医療行為のための食品」として生み出された! ケロッグ兄弟の意外な確執と歴史 (4/4)

2021.06.30 Wednesday

前ページグラノーラのアイデアを盗んだC.W.ポスト

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失敗から誕生したコーンフレークと兄弟の決別

ここまでずっと登場するのはグラノーラで、肝心のコーンフレークの名前はぜんぜん出てきません。

実はコーンフレークは、グラノーラを作る際の失敗から誕生しました

具体的にどのような失敗をしたのかは諸説あるのですが、あるとき、ウィルは厨房でグラノーラのために使う小麦を放置してダメにしてしまいます。

しかし、もったいないのでこの生地をローラーで引き伸ばしてみました。すると細かな薄片になったのです。

この薄片を焼いたものがフレークです。

これを療養所の患者たちに出してみたところ大好評だったため、ウィルはさらにこのフレークを作るのに最適なレシピを求めて研究を重ね、最終的にトウモロコシ粉を使ったときがもっとも出来がいいことを発見します

失敗から偶然発明されたコーンフレーク
失敗から偶然発明されたコーンフレーク / Credit:pixabay

こうして誕生したのが、ケロッグ社の主力商品となるコーンフレークです。

ウィルはグラノーラのアイデアを盗まれ、模倣者たちに大きく差を開けられてしまいました。

しかし、このコーンフレークを使えば、一気に状況を巻き返せると確信したのです。

問題は兄ジョンが、頑なに商品化を拒んでいることでした。

しかし、そんなウィルにとうとう転機が訪れます。

浴室の炉のトラブルが原因で、療養所が火事になりほとんどが焼け落ちてしまったのです。

1902年2月18日に起きたバトルクリーク療養所の火事
1902年2月18日に起きたバトルクリーク療養所の火事 / Credit:en.Wikipedia

ジョンにとっては悲劇でしたが、これはウィルにとってはチャンスでした。

ウィルは、療養所にいた資産家たちに声をかけ資金を集めると、ジョンに療養所の再建費用を出す代わりにコーンフレークのレシピの権利をすべて譲渡するように交渉するのです。

療養所はジョンにとって人生をかけた仕事でした。

結局ジョンは療養所を再開させるため、この条件を飲みコーンフレークに関する権利のすべてを弟のウィルに譲るのです

こうしてとうとうウィルは、ケロッグ社を立ち上げ、コーンフレークの商品化に乗り出すのです。

発売された商品は「ケロッグ コーンフレーク」の名で販売されます。

しかし、ここでも兄ジョン・ケロッグが邪魔をします。

ケロッグの名は医師ジョン・ケロッグの業績によって有名となった名前です。そのため健康食品のイメージにもぴったりでしたが、それを弟のウィルが使うことに反対したのです。

しかし、ウィルも同じケロッグです。結局ウィルはずっと避けてきた兄との全面対決を余儀なくされます。

そして、ケロッグの名を使うことに関する法廷での兄弟対決でウィルは勝利します

こうして、今につながるケロッグコーンフレークが世に広まっていくことになるのです。

スーパーに行けば大量に並んでいる朝食シリアル。

何気なく毎朝口にしている食事にも、こんな波乱に満ちたドラマが潜んでいます。

ちなみに、CWポストはウィルのケロッグ社の台頭によって、プレッシャーから再び心身を病み、亡くなってしまいます。

その彼の莫大な遺産は娘のマージョリーが引き継ぎますが、彼女も優れた実業家で、彼女の事業はその後、現在のゼネラルフーズへとつながっていきます。

現代の食卓に並ぶ商品には、長く連なった歴史があると思うと、毎日の食事も少し感慨深いものになります。

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