恒星ストリームを作り出す球状星団「パルマー5」
今回の研究のテーマは、恒星ストリームと呼ばれる天体がどうやって誕生するのかということでした。
恒星ストリームというのは、銀河の回りに細長く伸びた星の流れのことです。
むしろこっちを「天の川」と呼びたくなりますが、こうした星の筋を恒星ストリームと呼びます。
恒星ストリームは、伴銀河がホスト銀河に衝突して引き伸ばされて形成されたと考えられていますが、銀河の崩壊が元になっているというには、あまりに星の数が少ないものもあります。
そのため、天の川銀河の近くに形成された恒星ストリームは、球状星団が崩壊して作り出されたものではないかと考えられていました。
ただ、ほとんどの恒星ストリームはもう球状星団を伴っておらず、どうすると球状星団から恒星ストリームが作り出されるのか、そのメカニズムは不明でした。
しかし、球状星団パロマー5は、今現在も恒星ストリームを作りながら天の川銀河の周りを回っています。
そのため、パロマー5を研究すれば、球状星団が恒星ストリームを生み出す理由がわかると期待されていたのです。
上の画像は、天の川銀河とパルマー5の位置関係とその観測画像を示したものです。
中央上部分に付け足されている画像が、パルマー5とそれが伸ばす恒星ストリームを映したものです。
パルマー5が恒星ストリームを伴っているということは、この球状星団が大量の星を放り出しながら移動していることを意味します。
では、なぜパルマー5は星を外に放り出すのでしょう?
そこで、今回の研究チームはさまざまな条件のもとシミュレーションを行い、現在とまったく同じ状況が作り出されるまで計算を繰り返したのです。