新たな研究は肥満の人が運動すると、身体は平静時のカロリー消費を抑えようとすることを発見した
新たな研究は肥満の人が運動すると、身体は平静時のカロリー消費を抑えようとすることを発見した / Credit:canva
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肥満の人ほど「運動で痩せにくい体」になっている (2/2)

2025.09.20 07:00:43 Saturday

前ページ人間のエネルギー代謝の詳細な調査

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肥満な人ほど体の燃費がどんどん良くなっていく

運動しても疲れるだけで痩せない体になる
運動しても疲れるだけで痩せない体になる / Credit:canva

私たちは運動でカロリー消費すれば、その分は丸々、1日の総消費カロリーに上乗せされるという印象を持っています。

だから、運動すればするほど体の脂肪が減って痩せられるだろうと感じてしまします。

しかし、この研究は、運動するほど体が節約上手になり、さらに脂肪の多い人ほどその影響が大きくなる可能性が示されたと報告しています。

調査結果では、BMIがもっとも高かった人は、運動で消費したカロリーのうち54%分しか実際の総消費カロリーに上乗せされておらず、残りの本来消費されるべき46%分は、もっとも基礎的な機能に費やされるエネルギーを体が減らしたことで、帳消しにされていたといいます。

これは全体として年齢や性別による差はなく、関連するのはBMIだけでした

このため、研究チームは、BMIが高い(つまりが脂肪レベルが高い)人は、長期的な運動に応じて、基礎的な1日の消費カロリー量が減少しやすく、運動で痩せにくくなる可能性があると述べています。

現在世界中のガイドラインで、体重を減らすためには、1日500~600キロカロリーを運動などで余分に消費することが推奨されています。

また運動によって消費されたカロリー量を表示させるアプリなどもあるため、運動で燃焼される脂肪量(減量)も簡単に計算できるようになっています。

カロリー計算がしやすい世の中になっているが、実際数値通りに上手く言っているとは限らない
カロリー計算がしやすい世の中になっているが、実際数値通りに上手く言っているとは限らない / Credit:canva

しかし、今回の研究を通じて示されたのは、運動して消費されたカロリーは、体の基礎的な代謝エネルギーの減少によって相殺されてしまうため、実際は50%程度しか体重減少に寄与しない可能性があるという事実です。

そのため、ダイエットに関するガイドラインについても見直しが必要だろうと、研究者は語っています。

太っている人ほど、運動によって体の燃費がどんどん良くなってしまうとは、なんとも皮肉な話です。

体はなんとしても脂肪を手放したくないのでしょうか。

今回その原因については明らかにされていませんが、太ってしまう人は、そもそも体の燃費が非常によい設計になっているのかもしれません。

※この研究には22年に解析のやり方(比率の扱い方)に対する批判論文(Careau et al., Current Biology 2022)が発表されており、研究者も比率の解釈には注意が必要だと認めましたが、研究の中心的な結論(活動量が高いときにエネルギー補償が働き、肥満の人で補償が大きい傾向がある)は変わらないとしています。

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肥満の人ほど「運動で痩せにくい体」になっている (2/2)のコメント

ゲスト

つまり…一度太ったらもう「詰み」ってことデブか?

ゲスト

ひょっとして長距離走とかの選手は一旦太ったあと断食で痩せると耐久力上がったりしちゃいます?

鈴木

体重(発熱体のボリューム)と体表面積(放熱板の大きさ)といったスケール則だけでなく、生理学的な背景もあるとのことですね。比較生理学の教科書で、呼吸商(吸収した酸素と排出した二酸化炭素の比)は、動物種で(タンパク系/脂質系/糖質系といった餌の違いを反映して)異なると書いてあります。とすると、デブと標準体型の方は、ダイエット期間中の平均的な呼吸商も異なってきそうですね。

ゲスト

精々頑張りな

ゲスト

そもそも運動で痩せようと思うのが間違いだと前から言われているじゃん
諦めてカロリー制限に重点置くべき

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