肥満な人ほど体の燃費がどんどん良くなっていく
私たちは運動でカロリー消費すれば、その分は丸々、1日の総消費カロリーに上乗せされるという印象を持っています。
だから、運動すればするほど体の脂肪が減って痩せられるだろうと感じてしまします。
しかし、今回の研究結果は、BMIがもっとも高い人々の場合、運動や活動によって消費されたカロリーのうち、その日の総消費カロリーの減少に寄与した分がわずか54%だったことを示しています。
残りの分は、もっとも基礎的な機能に費やされるエネルギーを体が減らしたことで、帳消しにされてしまっていたのです。
一方、BMIが低い人の場合、運動の消費カロリーが、1日の総消費カロリーを減少させた割合は70%ほどと、肥満の人より多い結果となりました。
これは全体として年齢や性別では違いがなく、関連するのはBMIだけだったといいます。
このため、研究チームは、BMIが高い(つまりが脂肪レベルが高い)人は、長期的な運動に応じて、基礎的な1日の消費カロリー量が減少しやすくなる可能性があると述べています。
現在世界中のガイドラインで、体重を減らすためには、1日500~600キロカロリーを運動などで余分に消費することを推奨しています。
また「Apple Watch」のようなトラッカーで、運動によって消費されたカロリー量を表示させることができ、それに応じて燃焼される脂肪量(減量)も簡単に計算できるようになっています。
しかし、今回の研究を通じて示されたのは、運動して消費されたカロリーは、体の基礎的な代謝エネルギーの減少によって相殺されてしまうため、実際は50%程度しか体重減少に寄与していないという事実です。
そのため、ダイエットに関するガイドラインについても見直しが必要だろうと、研究者は語っています。
太っている人ほど、運動によって体の燃費がどんどん良くなってしまうとは、なんとも皮肉な話です。
体はなんとしても脂肪を手放したくないのでしょう。
今回その原因については明らかにされていませんが、太ってしまう人は、もともと体の燃費が非常によい設計になっているのかもしれません。