ミソキネシアは「動き」への苛立ち
ミソキネシアとは、具体的にどんな状態を指すのでしょうか?
本研究主任で、心理学博士のスミート・ジャスワル(Sumeet Jaswal)氏は、論文内で、「他人のそわそわした動きや、小さく反復的な動きを見たときに、強い否定的な感情や情動反応が起こること」と定義しています。
具体的には、他人が食事している時の口の動きや貧乏ゆすり、同じ場所を行ったり来たりする行動を見ると、苛立ちや嫌悪感を抱いてしまいます。
このとき注意したいのは「音は関係しない」ということです。
たとえば、クチャクチャという咀嚼音や、貧乏ゆすりのカタカタという音は関係ありません。
ミソキネシア(ラテン語で「動きを嫌う」という意味)は、他人の動きが視覚的にトリガーとなる現象であって、音が気になる現象は、これとは別に「ミソフォニア(misophonia)」と呼ばれます。
この2つは同時並行して起こることもあるので、自分がどちらに当てはまるのか、あるいは両方なのかは識別が難しいです。
しかし、そのどちらかに身覚えのある人は、かなり多いのではないでしょうか?
研究チームは今回、ミソキネシアがどれくらい普遍的に生じているのかを調査しました。