他人の咀嚼や貧乏ゆすりを見るとイライラしますか?
他人の咀嚼や貧乏ゆすりを見るとイライラしますか? / Credit: jp.depositphotos
psychology

咀嚼や貧乏ゆすりにイライラする「ミソキネシア」は、3人に1人に存在すると判明

2021.09.05 Sunday

「ミソキネシア(misokinesia)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

たとえば、他人の咀嚼(そしゃく)や貧乏ゆすりを見て、ひどくイライラするなら、あなたはミソキネシアと言えます。

ミソキネシアは科学的な研究が進んでいない心理現象で、そのために、一般層にほとんど知られていません。

しかし今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)の研究チームが、世界初となる詳細な調査を行いました。

それによると、ミソキネシアは、予想されていたより普遍的な現象で、3人に1人はその傾向があることが判明しました。

研究は、8月26日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

First In-Depth Study of ‘Misokinesia’ Phenomenon Shows It May Affect 1 in 3 People https://www.sciencealert.com/first-in-depth-study-of-misokinesia-phenomenon-shows-it-may-affect-1-in-3-people
Misokinesia is a sensitivity to seeing others fidget that is prevalent in the general population https://www.nature.com/articles/s41598-021-96430-4

ミソキネシアは「動き」への苛立ち

ミソキネシアとは、具体的にどんな状態を指すのでしょうか?

本研究主任で、心理学博士のスミート・ジャスワル(Sumeet Jaswal)氏は、論文内で、「他人のそわそわした動きや、小さく反復的な動きを見たときに、強い否定的な感情や情動反応が起こること」と定義しています。

具体的には、他人が食事している時の口の動きや貧乏ゆすり、同じ場所を行ったり来たりする行動を見ると、苛立ちや嫌悪感を抱いてしまいます。

このとき注意したいのは「音は関係しない」ということです。

たとえば、クチャクチャという咀嚼音や、貧乏ゆすりのカタカタという音は関係ありません。

ミソキネシア(ラテン語で「動きを嫌う」という意味)は、他人の動きが視覚的にトリガーとなる現象であって、音が気になる現象は、これとは別に「ミソフォニア(misophonia)」と呼ばれます。

この2つは同時並行して起こることもあるので、自分がどちらに当てはまるのか、あるいは両方なのかは識別が難しいです。

しかし、そのどちらかに身覚えのある人は、かなり多いのではないでしょうか?

研究チームは今回、ミソキネシアがどれくらい普遍的に生じているのかを調査しました。

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