脂肪がたくさん燃えるコツは絶食状態での運動
朝に有酸素運動を行うメリットとして、脂肪燃焼効果が高いことがよく言われます。
実際、朝の有酸素運動が脂肪燃焼に効果的であることは科学的にも確認されていますが、そのポイントは「一晩の絶食状態」で運動することにあります。
前日の夕食から約10時間の間隔を空けて運動することで、体はより積極的に脂肪を燃焼させるのです。
この理由の1つは、前日の食事によって肝臓に蓄えられた糖質(肝グリコーゲン)が、朝までの間に血糖値を維持するために消費されていることです。
実際、筑波大学の研究グループらが約10年前に発表した研究を見ても、午前中の朝食前もしくは朝食後に60分間の有酸素運動をした場合、朝食前の条件で脂質酸化量(脂肪燃焼量)が著しく高くなっていました。
しかし、ここでダイエット効果を期待する人には、脂肪がたくさん燃えているからといって、他の時間帯での運動に比べ、消費カロリーが増えるわけではないという注意点もあります。
事実、この研究でも、24時間を通じた総消費カロリーには差が見られなかったことが示されています。
ここで、多くの人が見落としがちなのは、体重が増える原因が必ずしも脂肪の摂りすぎというわけではないという点です。
国民栄養調査によると、私たちの食事から得るエネルギーの50%以上が糖質から来ているのに対し、脂質からは約30%にとどまっています。 これは、私たちが普段から糖質を多く摂っていることを示しています。
また、私たちの体は安静時では糖質よりも脂肪の方を使ってエネルギーを燃やしている上、前の食事から時間が経つと、脂肪がより多く使われます。
つまり、運動をしていない日常生活でも、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがうまく取れていれば、食べた脂肪の分ぐらいはちゃんと燃えているのです。
そのため、運動中に脂肪が燃えなくても、糖質をエネルギーとして使うことで、余った糖質が体脂肪に変わるのを減らすことができます。
もっと言うならば、ダイエット効果を高めたいなら、運動中にどちらのエネルギー源が使われるか(脂肪か糖質か)よりも、摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくすることが大切です(摂取カロリー<消費カロリー)。
次のページでは、朝に運動をすることがダイエットにマイナスに働く可能性についても考察していきます。