社会的利益と個人的利益の不都合な不一致
今回の研究によってポリコレへの配慮によって、脳機能の低下と配偶者との私生活が棄損される可能性が示されました。
会社などの経営者や部下を指揮する立場の人間にとってポリコレを奨励することは会社の利益につながる場合がある一方で、ポリコレ配慮を強制された従業員には認知機能の低下や私生活の質の悪化の懸念が発生します。
研究者たちは「私たちの活動はポリコレにかかわる因果関係をよりよく理解するための第一歩にすぎない」と述べています。
ポリコレがもたらす社会的利益にのみ目を向け、個人が被る不利益を無視しつづければ、社会に歪みが生じるでしょう。
歪みの蓄積が大地震を起こすように、たとえ正しいことでもその活動を広く長期に実現させるためには、多くの人に無理がないように実行する必要があるでしょう。
研究者たちは最後に「今回の研究目的はポリコレがもたらす利益を否定することや、中止を提言するものではなく、ポリコレの理解を進めることである」と述べています。
万人にとっての最善がないことを認め、より効果的な運用を目指すことは、決して理想からの後退ではないはずです。
※この記事は2022年7月公開のものを再掲載しています。