維管束にはダヴィンチの法則が当てはまらない
植物の内部には、水や養分を運ぶ血管のような通り道が走っています。
根っこから吸い上げた水分の通り道が「道管」、葉っぱで作られた栄養分の通り道が「師管」と呼び、それら2つが束状に合わさったものが「維管束」です。
植物学者たちはこれまで、ダヴィンチの提唱した「木の法則」が内側を走る維管束システムにも適用できるものと考えていました。
つまり、維管束システムの断面も木の枝分かれに伴い、同じ比率で徐々に細く小さくなっていくと思っていたのです。

しかし研究主任のルーベン・ヴァルブエナ(Ruben Valbuena)氏とスチュアート・ソップ(Stuart Sopp)氏は、この法則を実際の維管束システムの働きに適用してみると、無理が生じることを発見しました。
最大の問題は維管束システムの「水圧抵抗」が維持できなくなることです。
樹木が水や養分を根っこから葉っぱまで効率的に送り届けるには、一定の水圧抵抗を幹から枝の先端にわたって維持しなければなりません。
ところが、ダヴィンチの「木の法則」を維管束システムに適用すると、途中で維管束が水や養分を輸送できなくなることが計算で突き止められたのです。
そこで維管束システムは根から葉先へ液体を輸送するために、一定の寸法を維持する必要があります。

結果として、枝分かれによって樹木の枝そのものは細くなっていくの対し、内部の維管束システムは一定の寸法を維持することで、周囲の枝の体積に対する比率が先に行くにつれて大きくなっていたのです。
これはダヴィンチの「木の法則」が維管束には当てはまらないことを示しています。

この結果について、ヴァルブエナ氏は「ダヴィンチの法則は樹木の顕微鏡的なレベルでは当てはまらない」と指摘しました。
しかし裏を返せば、顕微鏡でやっと見える維管束を調べなければならないほど、ダ・ヴィンチの法則は精度が高かったということになります。
現代にも通用する法則を500年以上も前に発見していたダヴィンチは、やはり”万能の天才”の名にふさわしいでしょう。



























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双子葉植物と単子葉植物では維管束の配列が違いますが、このあたりの説明が欲しいです。また、剪定などで枝を切り落とせば「木の法則」は崩れると思いますが、その後「木の法則」に従うような枝の肥大が起こるのかどうかも知りたいですね。