腕立て伏せの回数で心血管疾患の発症リスクは予測できるのか
実験に参加したのは、現役の男性消防士1,104名です。
参加者には腕立て伏せが連続でできる能力と心肺機能を測るテストを受けてもらいました。
腕立て伏せのテストでは、80 bpmのメトロノームの音に合わせて何回連続で腕立て伏せができたかを記録しています。
ここでは上限を80回とし、メトロノームの音に合わせられなかった回数が3回になるか、疲労でギブアップするまでの回数がカウントされました。
参加者は実験結果に応じて、次の5つのグループに分けられました。①10回以下しかできなかった人、②11-20回できた人、③21-30回できた人、④31-40回できた人、⑤41回以上できた人
そして、参加者を10年間追跡し、その間に生じた心血管疾患の発症と連続で腕立て伏せができた回数の関連性を調べました。
分析の結果、まず腕立て伏せの回数が多いほど、心血管疾患の発症に関わる血圧、総コレステロール値、LDLコレステロール値、中性脂肪そして血糖値の数値が低いことが分かりました。
そして連続で41回以上の腕立てをできた人は、10回以下しか腕立て伏せができなかった人と比較して、10年後の心血管疾患の発症リスクが約96%低いことが確認されたのです。
41回以上腕立て伏せできないと心血管疾患のリスクが下がらないのかといわれるとそうではありません。
10回以下しか腕立て伏せができなかった人と比較して、31-40回腕立てをできた人は約75%、21-30回腕立てをできた人は約84%、11-20回腕立てをできた人は約64%と、10年後の心血管疾患の発症リスクが低下しています。
また心拍機能の強さよりも、腕立て伏せの回数は心血管疾患の発症の有無との間に強い関連が見られました。
まとめると、連続でできる腕立て伏せの回数は、心肺機能の強さよりも、10年後の心血管疾患の発症リスクを高い精度で予測する可能性があるということです。
研究チームは「私たちの発見は、腕立て伏せの回数が心血管疾患のリスクを評価するのに役立つ、簡単でお金のかからない方法である可能性を示唆している。」
「意外なことに腕立て伏せの回数は、心拍機能を測定するテストのパフォーマンスよりも心血管疾患のリスクと強く関連していた。」と述べています。
腕立て伏せをするだけで、その後10年間の心血管疾患のリスクが予測できるのであればしない手はありません。
一度何回できるか試してみてはいかがでしょうか。